公開日: 2024/01/11
更新日: 2024/09/30
安いマウスピース矯正の危険性とマウスピースの選び方について解説しています。
この読んだ後には、マウスピース矯正に関する理解が深まり、あなたに合った安全かつしっかり効果の出るマウスピースを選べるようになるでしょう。
記事の編集・責任者歯科医師高橋涼太先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
相場よりも安いマウスピースは、予算に限りがある人にとっては魅力的です。しかし、実際には多くの危険性が存在します。
ここでは、安いマウスピースを使ったときの危険性についてそれぞれ解説していきます。
安いマウスピース矯正の多くは通院が不要です。
しかし、公益社団法人日本矯正歯科学会は通院不要のマウスピース矯正に対して、以下のように述べています。
“大手運送業者と提携し、アライナーを直接患者様に配送して、矯正歯科医(矯正歯科に関わる専門的研修を修了している歯科医師)による適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認を疎かに行ったアライナー矯正は、予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があり歯科医学的観点から非常に危険です。”
出典元:公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 第2版
安い通院不要のマウスピース矯正では、歯科医師の定期的な診察がないため、歯にダメージを与えるリスクが高くなるでしょう。
SNSなどでよく見る「歯が動いたら治療完了」という考え方は、咬み合わせにとって非常に危険です。
治療が中途半端に終わると、見た目が改善されても、かみ合わせが悪くなり、結果的に健康を害する恐れがあります。
普通、歯科医院でのマウスピース矯正の後は「リテーナー」という保定装置を使って後戻りを防ぎます。
しかし、安いマウスピース矯正ではリテーナーが別料金となっていることが多いです。
安く済ませるためにリテーナーを使用しないと、後戻りが生じ、これまでの治療が無駄になる恐れがあります。
キレイライン矯正など回数制のブランドは初期費用が安く設定されており、非常に安い費用で矯正治療できるように見えます。
しかし、治療完了までの合計費用やリテーナーの費用を含めた治療総額は安くない場合もあるため注意が必要です。
マウスピースが安価で提供できる理由は大きく分けて4つあります。
・人件費がかからないため
・自分で歯型を取るため
・モニター価格で提供しているため
・矯正範囲を限定しているため
ワイヤー矯正は、月に1回のワイヤー調整やワイヤー交換が必要です。
一方で、マウスピース矯正の通院頻度は2~3ヶ月に一度で済むことが多く、結果的に歯科医師の人件費がかからないのです。
しかし、通院不要のブランドは、歯科医師の人件費が全くかからないため非常に安いですが、「危険を伴う」と日本矯正歯科学会は述べています。
出典元:公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 第2版
患者自身で歯型を取るブランドでは、クリニックで行う歯型採りや3Dスキャンのコストを削減できます。
例えば、アメリカの「SmileDirectClub(スマイルダイレクトクラブ)」では、自宅に届くキットを使用して自分で歯型を取ることができます。
※スマイルダイレクトクラブは2023年9月に経営破綻
しかし、歯型採りは精密なマウスピースを作るために非常に重要です。患者自身の歯型採りは、正確な型がとれているかの確認がされず、矯正の失敗につながるリスクがあることも留意しておきましょう。
一部の歯科クリニックでは、モニター価格でマウスピース矯正を行っています。
モニター価格とは、「治療中や治療完了後の写真をクリニックの広告として使用する」「治療に関するアンケートに回答する」などの条件を了承してもらうことで、通常の料金よりも安く設定された料金設定です。
モニター価格を利用すれば、患者は通常のマウスピース矯正よりも安くマウスピース矯正を受けられます。
マウスピース矯正には「全体矯正」と「部分矯正」の2つのタイプがあります。
部分矯正は矯正する範囲が限定されているため、全体矯正と比較して治療費が安くなり、治療期間も短く済むことが多いです。
軽度のすきっ歯や出っ歯、以前に矯正を行い後戻りしてしまった場合などにも適用されることがあります。
マウスピース矯正を選ぶ際、自分にあったマウスピースを見つけるためには7つのポイントを押さえておく必要があります。
目立つ部分だけの軽度な治療の場合、「部分矯正」を選べば、治療費をかなり抑えることが可能です。
反対に、奥歯を含めた「全体矯正」を選ぶと、ワイヤー矯正と同じくらいの費用がかかってしまいます。
ブランドによっては「部分矯正」専門のものもあれば、「全体矯正」に対応しているものもあります。
たとえば、スマイルモア矯正は部分矯正だけでなく、全体矯正にも対応しており、必要あれば奥歯まで治療することが可能です。
一方、「キレイライン矯正」などのブランドは部分矯正のみを提供しています。
通院や診察の回数が増えれば、それだけ人件費や技術費もかさみ、治療費が高くなります。
しかし、通院は治療がスケジュールどおりに進んでいるか、トラブルが起こっていないかの確認してくれる意味もありますので、極端に通院回数が少ないクリニックや通院不要のブランドは選ばないことをおすすめします。
マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外し可能なため食事や歯磨きがしやすいという利点があります。
一方で、ワイヤー矯正に比べて適用できる症例が限定されていたり、1日に20時間以上装着しなければ計画どおりに歯が動かなかったりするリスクがデメリットです。
マウスピース矯正の良い面だけでなく、不便な面もしっかりと説明してくれる誠実なクリニックを選ぶようにしましょう。
矯正を始める前に、「どのような歯並びになりたいのか」や「自分の理想の歯並びを実現するためにマウスピース矯正が適しているか」などを相談し、その説明に納得した上で矯正を開始することが重要です。
また、治療中もクリニックや歯科医師としっかり話し合い、治療の疑問点を解決するようにしましょう。
安いマウスピース矯正を選ぶとき、トラブルが起きた場合にクリニックがどのように対応してくれるかも要確認です。
電話やオンラインでトラブルに素早く対応してもらえるか、クリニックで直接診察を受けられるのかどうか、確認が必要です。
ここからは、マウスピース矯正の費用負担を軽くする5つのコツを紹介します。
マウスピース矯正は、特定の条件を満たせば医療費控除を受けることができます。
通常、見た目の改善だけを目的とする矯正治療は控除の対象外です。
しかし、歯科医師が「機能的な問題があるため矯正治療が必要」と診断した場合、医療費控除を受けられ還付金が得られる場合もあります。
デンタルローンは歯科治療専用の医療ローンで、加盟しているクリニックでのみ使用可能です。
デンタルローンを利用すれば、治療費を分割払いにし、一時的な負担を軽くできます。
治療にかかるすべての費用を最初に伝えるトータルフィーシステムであれば、治療途中で追加の装置が必要になったり、治療期間が延びたりしても、追加料金が基本的にかかりません。
しかし、回数制のマウスピース矯正ブランドや通院不要のブランドでは、リテーナー等で追加費用が必要な場合が多く、総額では安くないということにならないように注意しましょう。
装着時間を守らなかったり、定期的なチェックを受けなかったりすると、目標の歯並びにならず、治療計画の変更が必要となる可能性があります。
その結果、マウスピースの再設計や発注が必要になり、「治療期間が長引く」「追加費用がかかる」という事態になってしまいます。
マウスピース矯正の治療期間を無駄に延ばさないためには、医師の指示どおりに装着時間を守ることが大切です。 定期チェックは2〜3ヶ月ごとに行われるため、2年間の矯正治療の場合、約10回の通院で治療が完了します。
この記事では、安いマウスピースの危険性や理由、選ぶポイントなどを解説しました。マウスピース矯正について正しく理解することで、自分自身に適したマウスピース矯正を選択できるはずです。
安いマウスピース矯正を考えている方は本記事の内容を参考に、納得いく費用の歯科矯正を選びましょう。
Process
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少しでも「歯並びを整えたい」と思ったら、ぜひ気軽にご相談ください。
最寄りの医院でお口を詳しくチェック
詳しい診断のために、最寄りの提携医院で、いろいろな検査をします。
歯科医師が詳細を説明
歯科医師が、治療後にどんな歯並びになるかや費用の詳細を説明します。気になることがあれば何でも質問できます。
スマイルモア矯正を始めるか判断
スマイルモア矯正を始める場合は、お申込用紙にご記入いただきます。一旦、お家に持ち帰って検討してももちろんOKです。
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