2025/06/12
安いマウスピース矯正の危険性とマウスピースの選び方について解説しています。
この読んだ後には、マウスピース矯正に関する理解が深まり、あなたに合った安全かつしっかり効果の出るマウスピースを選べるようになるでしょう。
この記事の監修医師歯科医師高橋 涼太 先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
監修日:2025/06/12
相場よりも安いマウスピースは、予算に限りがある人にとっては魅力的です。しかし、実際には多くの危険性が存在します。
ここでは、安いマウスピースを使ったときの危険性についてそれぞれ解説していきます。
SNSなどでよく見る「歯が動いたら治療完了」という考え方は、咬み合わせにとって非常に危険です。
治療が中途半端に終わると、見た目が改善されても、かみ合わせが悪くなり、結果的に健康を害する恐れがあります。
普通、歯科医院でのマウスピース矯正の後は「リテーナー」という保定装置を使って後戻りを防ぎます。
しかし、安いマウスピース矯正ではリテーナーが別料金となっていることが多いです。
安く済ませるためにリテーナーを使用しないと、後戻りが生じ、これまでの治療が無駄になる恐れがあります。
キレイライン矯正など回数制のブランドは初期費用が安く設定されており、非常に安い費用で矯正治療できるように見えます。
しかし、治療完了までの合計費用やリテーナーの費用を含めた治療総額は安くない場合もあるため注意が必要です。
マウスピース矯正の費用は、治療する範囲や歯科医院によって異なります。
歯列矯正の費用は、部分矯正で10~70万円程度、全体矯正で50~120万円程度が一般的です。近年、治療範囲を絞ったり、通院回数を減らすことで、より手頃な価格で治療可能なマウスピース矯正が増加傾向にあります。
マウスピースが安価で提供できる理由は大きく分けて4つあります。
・人件費がかからないため
・自分で歯型を取るため
・モニター価格で提供しているため
・矯正範囲を限定しているため
ワイヤー矯正は、月に1回のワイヤー調整やワイヤー交換が必要です。
一方で、マウスピース矯正の通院頻度は2~3ヶ月に一度で済むことが多く、結果的に歯科医師の人件費がかからないのです。
しかし、通院不要のブランドは、歯科医師の人件費が全くかからないため非常に安いですが、「危険を伴う」と日本矯正歯科学会は述べています。
出典元:公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 第2版
患者自身で歯型を取るブランドでは、クリニックで行う歯型採りや3Dスキャンのコストを削減できます。
例えば、アメリカの「SmileDirectClub(スマイルダイレクトクラブ)」では、自宅に届くキットを使用して自分で歯型を取ることができます。
※スマイルダイレクトクラブは2023年9月に経営破綻
しかし、歯型採りは精密なマウスピースを作るために非常に重要です。患者自身の歯型採りは、正確な型がとれているかの確認がされず、矯正の失敗につながるリスクがあることも留意しておきましょう。
一部の歯科クリニックでは、モニター価格でマウスピース矯正を行っています。
モニター価格とは、「治療中や治療完了後の写真をクリニックの広告として使用する」「治療に関するアンケートに回答する」などの条件を了承してもらうことで、通常の料金よりも安く設定された料金設定です。
モニター価格を利用すれば、患者は通常のマウスピース矯正よりも安くマウスピース矯正を受けられます。
マウスピース矯正には「全体矯正」と「部分矯正」の2つのタイプがあります。
部分矯正は矯正する範囲が限定されているため、全体矯正と比較して治療費が安くなり、治療期間も短く済むことが多いです。
軽度のすきっ歯や出っ歯、以前に矯正を行い後戻りしてしまった場合などにも適用されることがあります。
マウスピース矯正を選ぶ際、自分にあったマウスピースを見つけるためには7つのポイントを押さえておく必要があります。
目立つ部分だけの軽度な治療の場合、「部分矯正」を選べば、治療費をかなり抑えることが可能です。
反対に、奥歯を含めた「全体矯正」を選ぶと、ワイヤー矯正と同じくらいの費用がかかってしまいます。
ブランドによっては「部分矯正」専門のものもあれば、「全体矯正」に対応しているものもあります。
たとえば、スマイルモア矯正は部分矯正だけでなく、全体矯正にも対応しており、必要あれば奥歯まで治療することが可能です。
一方、「キレイライン矯正」などのブランドは部分矯正のみを提供しています。
通院や診察の回数が増えれば、それだけ人件費や技術費もかさみ、治療費が高くなります。
しかし、通院は治療がスケジュールどおりに進んでいるか、トラブルが起こっていないかの確認してくれる意味もありますので、極端に通院回数が少ないクリニックや通院不要のブランドは選ばないことをおすすめします。
マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外し可能なため食事や歯磨きがしやすいという利点があります。
一方で、ワイヤー矯正に比べて適用できる症例が限定されていたり、1日に20時間以上装着しなければ計画どおりに歯が動かなかったりするリスクがデメリットです。
マウスピース矯正の良い面だけでなく、不便な面もしっかりと説明してくれる誠実なクリニックを選ぶようにしましょう。
矯正を始める前に、「どのような歯並びになりたいのか」や「自分の理想の歯並びを実現するためにマウスピース矯正が適しているか」などを相談し、その説明に納得した上で矯正を開始することが重要です。
また、治療中もクリニックや歯科医師としっかり話し合い、治療の疑問点を解決するようにしましょう。
安いマウスピース矯正を選ぶとき、トラブルが起きた場合にクリニックがどのように対応してくれるかも要確認です。
電話やオンラインでトラブルに素早く対応してもらえるか、クリニックで直接診察を受けられるのかどうか、確認が必要です。
マウスピース矯正は、手軽さや目立ちにくさから多くの方に選ばれていますが、特に以下のようなニーズを持つ方におすすめできる治療法です。
前歯のちょっとしたすき間や、わずかな歯の傾きなど、気になる箇所だけピンポイントで治したいという方には、マウスピース矯正による部分矯正がおすすめです。
部分矯正で治療範囲を限定することで、治療期間を大幅に短縮できることが多くなっています。症例にもよりますが、数ヶ月~1年程度で治療が完了するケースも珍しくありません。
結婚式など特定のイベントに向けて、短期間で見た目の改善をしたいと考える人に適した治療の一つといえるでしょう。
歯並びは気になるけど、矯正治療は高いと感じている人には、コストを抑えやすいマウスピース矯正がおすすめです。
特に部分矯正であれば、全体矯正とは違い、主に見た目が気になる前歯などを中心に治療するため、費用を大幅に抑えることができます。歯並びの状態によっては部分矯正が難しい場合もありますが、少ない負担で気になる部分だけでも整えたいというニーズに寄り添える治療法の一つです。
これまでは、歯列矯正は高額だからと諦めていた方も多いのではないでしょうか。
近年では、比較的リーズナブルな価格帯のマウスピース矯正プランが登場したことで、以前より治療のハードルが下がり、一歩踏み出しやすくなりました。
ただし、安価なプランには治療範囲に制限があることも多いため、ご自身の希望と照らし合わせ、どこまで含まれるのか内容を確認することが大切です。
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マウスピース矯正には多くのメリットがありますが、残念ながら全ての方に適しているわけではありません。満足できる治療結果を得るためには、ご自身の歯並びの状態や治療の目的を明確にすることが欠かせません。
特に以下の項目に該当する場合、マウスピース矯正以外の選択肢の方が適している場合があります。
リーズナブルな価格で提供される部分矯正の多くは、主に前歯の見た目の改善を目的としています。つまり、奥歯の噛み合わせのズレや顎全体のバランス調和など、根本的な噛み合わせの悪さを改善したい場合には、不向きなことも多いです。
噛み合わせは全体の健康にも影響するため、歯科医師とよく相談の上、治療を進めることが大切です。
奥歯の歯並びの乱れや全体のかみ合わせを根本から整えたいという方には、治療範囲を限定した部分矯正は適していない可能性があります。全体的な改善を希望する場合は、対応可能なマウスピース矯正ブランドや、場合によってはワイヤー矯正なども含めて検討すると良いでしょう。
安価なマウスピース矯正の多くは、歯並びの乱れが軽度から中程度の方を対象として設計されていることが多くなっています。そのため、以下のようなケースではマウスピース矯正の適用外となることがあります。
・歯が大きく重なり合っている重度のガタツキ(叢生)がある場合
・著しく前方に突き出た出っ歯や受け口の場合
・上下の顎の骨格に大きなズレがある場合 など
また、マウスピースの治療効果は、1日20時間以上の装着時間を守れるかどうかに大きく左右されます。自己管理の自信がないと感じている方には、着脱の手間がないワイヤー矯正の方がストレスなく治療を進められることもあります。歯科医師と相談のうえ、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。 無料カウンセリングを予約する
ここからは、マウスピース矯正の費用負担を軽くする5つのコツを紹介します。
マウスピース矯正は、特定の条件を満たせば医療費控除を受けることができます。
通常、見た目の改善だけを目的とする矯正治療は控除の対象外です。
しかし、歯科医師が「機能的な問題があるため矯正治療が必要」と診断した場合、医療費控除を受けられ還付金が得られる場合もあります。
デンタルローンは歯科治療専用の医療ローンで、加盟しているクリニックでのみ使用可能です。
デンタルローンを利用すれば、治療費を分割払いにし、一時的な負担を軽くできます。
治療にかかるすべての費用を最初に伝えるトータルフィーシステムであれば、治療途中で追加の装置が必要になったり、治療期間が延びたりしても、追加料金が基本的にかかりません。
しかし、回数制のマウスピース矯正ブランドや通院不要のブランドでは、リテーナー等で追加費用が必要な場合が多く、総額では安くないということにならないように注意しましょう。
装着時間を守らなかったり、定期的なチェックを受けなかったりすると、目標の歯並びにならず、治療計画の変更が必要となる可能性があります。
その結果、マウスピースの再設計や発注が必要になり、「治療期間が長引く」「追加費用がかかる」という事態になってしまいます。
マウスピース矯正の治療期間を無駄に延ばさないためには、医師の指示どおりに装着時間を守ることが大切です。 定期チェックは2〜3ヶ月ごとに行われるため、2年間の矯正治療の場合、約10回の通院で治療が完了します。 無料カウンセリングを予約する
この記事では、安いマウスピースの危険性や理由、選ぶポイントなどを解説しました。マウスピース矯正について正しく理解することで、自分自身に適したマウスピース矯正を選択できるはずです。
安いマウスピース矯正を考えている方は本記事の内容を参考に、納得いく費用の歯科矯正を選びましょう。
マウスピース矯正の値段は、以下の通り治療範囲によって大きく異なります。
・部分矯正:10~70万円程度
・全体矯正:50~120万円程度
ただし、これらは選択するマウスピース矯正のブランド、症例、各医院の料金設定によって変動しますので、詳細は各医院でご確認ください。
最近、目にすることが多い安価なマウスピース矯正にはいくつかの理由が考えられます。
一つは、治療範囲を限定することで、全体矯正に比べ材料費を抑えられる点です。また、オンラインシステムを活用し、通院回数を抑えることでコストダウンを図っている場合もあります。
ただし、安いからといって安易に飛びつくのではなく、治療の質や自分に適しているのかまでしっかり確認することが大切です。
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