公開日: 2023/11/16
更新日: 2024/09/30
噛み合わせの悪さは、見た目だけの問題ではありません。日常生活における肩こりや顎関節症にいたるまで、様々な影響を及ぼします。そこで、噛み合わせの悪さを自身で治したいと考えている方も多いでしょう。
本記事では、噛み合わせの悪さがもたらす体への影響と、噛み合わせを自分で治すことができるのかについて解説します。
記事の編集・責任者歯科医師高橋涼太先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
悪い咬み合わせのことを専門用語で不正咬合と言います。不正咬合には様々な種類がありますが、その原因を知らないと治療方法もわかりません。
ここでは一般的な悪い嚙み合わせのタイプを、原因別に分類し解説します。
叢生とは、別名乱杭歯とも呼ばれ、歯が重なり合って凸凹になっている歯並びの状態です。
この状態は、顎のサイズに対して歯のサイズが大きく、必要なスペースが足りないために発生します。特に、乳歯から永久歯への生え変わりの時期に顕著になることが多いです。
見た目は歯が重なり合い、不規則に並んでいる様子が確認できます。
空隙歯列(すきっ歯)は、歯と歯の間にすき間が見られる状態です。顎のサイズに対して歯のサイズが小さいことで、スペースが余っています。
主に目立ちやすい前歯の中央部分にすき間が見られるものを「正中離開」と呼びます。
空隙歯列は笑った時に目立ちやすく、歯と歯のすき間が黒っぽく見えます。
交叉咬合とは上の歯が下の歯に被さる正常な歯並びと異なり、歯並びの一部が上下逆になっている状態です。叢生と同様に、スペースが不足することで生じます。
大人になるにつれて下顎が横にずれて成長するリスクがあり、顔が歪んでしまう可能性もあります。
上顎前突とはいわゆる出っ歯のことで、上の前歯が下の前歯よりも前方に位置する状態を指します。重度の場合、上の歯が通常よりも前方に突出し、下の歯と全く咬まないこともあります。
下顎前突とは、奥歯で噛んだ時に下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。
反対咬合や受け口、しゃくれとも呼ばれ、歯並びが原因の「歯性」タイプと、骨格的に下あごが成長しすぎる「骨格性」タイプがあります。
下顎前突の見た目の特徴としては、横から見た時に、下あごが前方に突出している印象を受けるでしょう。
過蓋咬合は、奥歯で噛んだ時、上の前歯が下の歯を隠してしまうほど深い咬み合わせを指します。
下の歯がほとんど見えないことが特徴です。重度の場合は、上の前歯の内側の歯茎に、下の前歯が突き刺さっている場合もあります。
開咬とは、咬み合わせが浅く上下の前歯が噛まない状態です。 一般的に開咬は、前歯部開咬のことを指し、前歯部開咬の原因は舌を前に突き出す癖(舌突出癖)が関係しています。
顎の骨の形状や大きさ、歯の数や形、歯並びの特徴などの不正咬合の原因は、すべて遺伝によって影響を受けます。
指しゃぶりや舌の癖が長期間続くと、咬み合わせが悪くなります。
例えば、指しゃぶりは上顎前突の原因とり、舌癖は下顎前突や開咬の原因となります。また、哺乳瓶やおしゃぶりの長期的な使用も、噛み合わせに影響を与える要因として知られています。
よく噛むことはあごの筋肉を鍛え、正常な発育を促します。逆によく噛まずに食事をすると、あごの筋肉の発達不足やあごの骨の成長不足を引き起こし、不正咬合のリスクを高めます。
口呼吸はあごの位置や口周りの筋肉に影響を与え、不正咬合を引き起こします。 特に口が常に開いている状態が続くと、噛み合わせに悪い影響を及ぼす場合が多いです。
口腔内の環境が変化して咬み合わせが悪くなる原因は、主に以下です。
・歯を失った(歯の喪失)後のスペースを放置
・不適切な歯科治療
・歯周病
噛み合わせが悪いことは、体全体にさまざまな症状を引き起こします。 以下に、噛み合わせの悪さが引き起こす具体的な症状を解説します。
顎関節症は、悪い噛み合わせにより顎関節に良くない力がかかることが原因です。 この状態は顎の動きに伴う痛みや、口が開かない開口障害を引き起こす場合があります。 さらに、顎の位置のずれは耳鳴りや頭痛を引き起こすケースもあり、不眠症などにもつながります。
噛み合わせが悪いと歯ブラシが届きにくい箇所が生じ、プラークが溜まりやすくなります。 プラークが蓄積すると虫歯の発生率が高まり、歯周病のリスクも増大します。
噛み合わせの問題は、顎の筋肉だけでなく首や背中の筋肉にも影響を及ぼします。 口や顔の筋肉が緊張すると、頭痛や肩こり、腰痛といった全身の痛みを引き起こす原因となることがあります。
悪い咬み合わせは、左右どちらかの歯や筋肉ばかりに負担がかかることがあります。その結果、顔の歪みを引き起こします。
噛み合わせの悪さによる痛みや不快感は、精神的なストレスです。 ストレスで睡眠障害やうつ状態を引き起こすと、生活の質の低下につながります。
噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に噛めず、消化器に余計な負担をかけます。 消化不良や胃腸の不調を引き起こし、栄養吸収の問題にもつながる可能性があります。
無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こす可能性があります。 その結果歯の咬耗やヒビ、顎の痛みにつながることもあり、歯の寿命を縮める原因にもなります。
結論から言うと、噛み合わせの問題は自分で解決できるものはありません。
自分で無理やり治そうとすると、歯や歯茎、顎に取り返しのつかないダメージを与える可能性もあるので、専門的な治療が必要です。
しかし、費用や手間から自分の噛み合わせを自力で改善しようと考える方が多いです。
インターネットでは、セルフトレーニングによる改善の余地があるという情報もあるので、惑わされている方も多いと思います。
どうしても自力で治したいのであれば、無理やり押すといった力技ではなく、筋機能療法という舌や唇のトレーニングは行っても良いかもしれません。
自力でのセルフトレーニングを試しても、悪い噛み合わせが治る保証はないので、早めに歯科医師の診断を受けることが重要です。
以下では歯列矯正による悪い咬み合わせの治療方法について解説します。
ワイヤー矯正は、悪い噛み合わせや歯並びを治す方法です。
この治療方法では、金属やセラミックのブラケットを歯に固定し、ワイヤーを通して徐々に歯を動かしていきます。治療期間は通常は1〜3年程度を要します。
マウスピース矯正は、目立たない透明なマウスピースを使用して歯並びを整える方法です。
マウスピースは患者の口腔内にぴったりと合わせて作られ、数週間ごとに新しいものに交換しながら徐々に歯を動かしていきます。
外科的矯正治療は、重度の噛み合わせや顎の骨格に問題がある場合に行われます。この治療は矯正装置と組み合わせて行われ、骨の位置から咬み合わせを治療します。
この記事では、上顎前突や下顎前突などの一般的な噛み合わせの問題から、遺伝や生活習慣による影響、そしてそれが引き起こす症状に至るまでを解説しました。
自分でできる対策もありますが、できるだけ早く歯科医院に相談しましょう。
矯正治療は時間と労力が必要ですが、長期的な健康と快適な生活のためには、その価値は計りしれません。あなたの噛み合わせの悩みを解消し、より良い日々を送るための一歩を、今日から始めていきましょう。
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