公開日: 2023/12/02
更新日: 2024/09/30
歯列矯正を検討する際、多くの人がはじめに直面するのが「費用」の問題です。
この記事では、歯列矯正の費用相場や矯正方法によって異なる費用の内訳、そして費用についてのよくある疑問に答えていきます。現在歯列矯正を考えているという人は、失敗して後悔しないためにも、ぜひ最後まで本記事を読んで学んでみてくださいね。
記事の編集・責任者歯科医師高橋涼太先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
歯列矯正にかかる費用は、クリニックによって異なります。
スマイルモア矯正が実施した調査では、以下のようになりました。
・ワイヤー矯正(表側):50万円〜110万円
・ワイヤー矯正(裏側):81万円〜160万円
・ハーフリンガル矯正:74万円~130万円
・ワイヤー部分矯正:10万円~70万円
・マウスピース全体矯正:50万円〜120万円
・マウスピース部分矯正:11万円~70万円
ただし歯の状態や治療の難易度に応じても大きく費用が変わり、例えば重度の歯並びであれば、費用は高くなります。一方で、歯並びの問題が軽度であれば、部分矯正で費用をおさえることができるかもしれません。
ここからは、ワイヤー矯正の種類によってかかる費用について詳しく解説していきます。
表側矯正は、歯の表面にブラケットを取り付ける一般的な矯正方法です。
表側矯正の費用は50万〜110万円で、平均78万円です。ほかの矯正方法と比べると、比較的安価といえます。
さらに表側矯正でも、どのブラケットを使用するかによって費用は変動します。
金属製のメタルブラケットの場合は目立ちやすいですが、費用は安いです。しかし、白色の目立ちにくいセラミックブラケットの場合、メタルブラケットに比べて10~20万円の追加費用が必要になります。
・金属製のブラケット:50万~80万円
・セラミック製のブラケット:60万~110万円
また表側矯正を行う際には、定期的なワイヤーの調整や交換が欠かせません。
ワイヤーの調整料は、約1か月に1回3千~1万円かかるのが一般的です。調整料は、矯正治療の総費用に含まれているクリニックもあります。
またブラケットやワイヤーを破損してしまうと、装置の修理や取り換えに追加料金がかかります。
裏側矯正は、歯の裏面にブラケットを取り付けるため矯正装置が外からほとんど見えない矯正方法です。
裏側矯正の費用は81〜160万円で、平均123万円です。様々な矯正方法の中でも高額な治療法といえるでしょう。
裏側矯正は表側矯正よりも高度な技術が必要なため、費用が高くなります。具体的には、表側矯正に比べ30~50万円の追加費用が必要なことが多いです。
・表側矯正:50万〜110万円
・裏側矯正:81万〜160万円
また、表側矯正同様にワイヤーの調整料が発生します。約1か月に1回3千~1万円かかるのが一般的です。ただし裏側矯正は、表側矯正に比べて治療が長期間となる場合が多く、その分調整回数も多くなるため調整料も高くなります。
ハーフリンガル矯正は、装置が目立ちやすい上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正を取り付ける矯正方法です。
ハーフリンガル矯正の費用は74万〜130万円で、平均108万円です。
表側矯正よりも高額ですが、裏側矯正よりは安価で、双方のいいとこ取りをした矯正方法といえるかもしれません。
・表側矯正:50万〜110万円
・裏側矯正:81万〜160万円
・ハーフリンガル矯正:74万〜130万円
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを用いて歯を段階的に動かす方法です。 マウスピース矯正の費用は50万〜120万円で、平均86万円です。
マウスピースは数週間ごとに新しいものに交換する必要があり、定期的な歯科診察や調整も必要です。ただしワイヤー矯正に比べると、通院頻度は少なくてよく、メンテナンスにかかる費用も安価であるか、無料であることが多いです。
そのため総合的な費用でいうと、ワイヤー矯正よりも安くおさえられる可能性があります。
しかし、注意しなければならないのがマウスピースの紛失や破損です。 マウスピースは食事のときに取り外すため、誤って捨ててしまうケースがあり、その場合には再び作るための費用として、1万円〜3万円程度かかってしまいます。
部分矯正は、歯列の一部分だけを対象に行う矯正治療です。
ワイヤー部分矯正の費用は10万〜70万円で、平均30万円です。全体矯正に比べて大幅に費用が抑えられます。
部分矯正が安価な理由は、ブラケットとワイヤーの装置費用や治療にかかる時間が少なくて済むためです。ただし、ワイヤーの調整料は全体矯正と同様に約1か月に1回3千~1万円かかることが多いです。
マウスピースの部分矯正も、特定の歯だけを対象とした矯正方法です。 ワイヤー部分矯正の費用は11万〜70万円で、平均36万円です。ワイヤー部分矯正とほとんど差はありません。
特定の歯のみをマウスピース部分矯正で改善するため、製作するマウスピースの枚数が少なくなり安くなります。さらに、マウスピース部分矯正の場合、経過観察や調整料も無料の医院が多いので、さらに合計費用を抑えることができます。
ただし、マウスピースを紛失したり破損したりすると、そのぶん作り直しの費用が発生するのはマウスピース全体矯正と変わらないので注意しましょう。
一般的なワイヤー矯正やマウスピース矯正以外にも、いくつかの矯正方法があります。
セラミック矯正は、歯を削った上にセラミック製の歯を被せて見た目を整える方法です。 セラミック1本あたり約5〜15万円必要で、上下前歯の12本にセラミック矯正を施す場合、総額60万〜180万円程度かかります。
歯の色や形・大きさを変更できる点がメリットですが、健康な歯を削るというデメリットがあります。
拡大床矯正は、上あごの成長を促すことで歯並びを整える方法です。
費用は10万〜40万円程度で、あごの成長余地がある子どもに適しています。
重度の不正咬合には、外科手術が必要となる場合があります。
外科手術の費用はケースによって大きく異なりますが、平均で90万円程度かかることが一般的です。さらに場合によっては、数日の入院費や通院費用がかかることもあるでしょう。
この矯正方法は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正と組み合わせて行われる場合が多いです。
カウンセリングでは、歯科医師が患者の歯の状態を確認したのち、患者の矯正に対する希望を詳しく聞きます。
カウンセリングにかかる費用は、ホームページなどで事前に確認しておきましょう。
無料で行っている場合もありますが、クリニックによっては3千円~1万円程度かかる場合もあります。
クリニックによっては、カウンセリングとあわせて精密検査を行います。
精密検査ではレントゲンを撮影したり歯型をとったりして、現在の歯並びやあごの骨の状態、むし歯の有無などをチェックします。
この検査に、カウンセリング費用とは別で1万円〜5万円程度かかる場合があります。
さらにこの精密検査をもとに、歯の動かし方のシミュレーションを行なって、治療計画を立てていきます。これにも診断料として、1万円〜5万円程度かかる場合があるようです。
歯列矯正を始める前に、虫歯治療を行う場合があります。 矯正治療中は虫歯の治療が難しくなるため、矯正前に虫歯を治しておく必要があるからです。
虫歯治療にかかる費用は、通常1本あたり2千〜1万円程度ですが、虫歯の程度によって異なります。
クリニックによっては、矯正治療と虫歯治療を同時に行ってくれる場合があります。一方で、虫歯治療はほかの歯科医院で行うよう伝えられる場合もあるので、事前にクリニックに確認しましょう。
矯正装置にかかる費用は、選んだ矯正方法によって大きく異なります。
・ワイヤー矯正(表側):50万円〜110万円
・ワイヤー矯正(裏側):81万円〜160万円
・ハーフリンガル矯正:74万円~130万円
・ワイヤー部分矯正:10万円~70万円
・マウスピース全体矯正:50万円〜120万円
・マウスピース部分矯正:11万円~70万円
歯列矯正を行っているあいだは、定期的な通院が欠かせません。
一般的に、ワイヤー矯正の場合、月1回3千円~1万円の調整料が必要です。矯正期間は一般的に1~3年程度なので、矯正完了までにかかる通院費用総額は10万〜30万円程度です。
ただしマウスピース矯正の場合、通院は少なくてよいことが多く、経過観察(再診料)無料のクリニックもあります。そのため、事前にどれくらい通院が必要になりそうか確認することをおすすめします。
リテーナーは、矯正治療で治した歯並びを維持するための装置です。
矯正治療が完了した後、歯がもとの位置に戻らないようにするために使用されます。
リテーナーには大きく分けて、マウスピースとワイヤー、プレートの3種類があります。
・マウスピース型リテーナー:約1~2万円
・ワイヤー型リテーナー:約2~4万円
・プレート型リテーナー:約2~6万円
【マウスピース型リテーナー】
患者が自由に付け外しできるタイプで、費用は上下合わせて1万〜2万円程度です。
取り外すことができるため歯磨きや清掃がしやすく衛生的に優れていますが、毎回装着する手間がかかります。
【ワイヤー型リテーナー】
歯の裏側にワイヤーを通して常時固定するタイプで、費用は上下合わせて2万〜4万円程度。
24時間付け続けるため歯の位置を効果的に保てますが、リテーナーの掃除が難しいうえ、装着期間が半年〜3年程度に及ぶ場合もあります。
【プレート型リテーナー】
着脱できるワイヤーがついたプレートを口腔内にはめるタイプです。費用は上下合わせて2万〜6万円程度かかります。
着脱できるので衛生面に優れていますが、ワイヤーが歯の表側にくるため、ほかに比べて目立ちやすいというデメリットがあります。
矯正治療を行った後は、歯並びや口腔内のチェックとして、保定観察・経過観察を行う必要があります。
保定期間は定期的にクリニックに通う必要があり、その都度3千円〜5千円程度かかる場合が多いです。
保定観察にかかる期間は平均1〜2年程度ですが、頻度は数ヶ月〜半年に1回でよいので、合計でかかる通院費用は2万円程度になるでしょう。
ここからは歯列矯正にかかる費用の支払い方法について紹介します。
比較的高額になりがちだからこそ、きちんとした支払いプランを立てましょう。
まず一括支払いとは、矯正治療をスタートする時にまとめて全額支払う方法です。クリニック窓口での現金払いや銀行への振込、クレジットでの一括決済によって支払います。
一括支払いには利子がかからないため、分割支払いより総額費用が少なくなったり、支払いを1度に済ませることで治療に集中できたりするメリットがあります。 その一方で、はじめに大きな金額が必要となり、万が一クリニックを変更したい時には返金が複雑になるなどのデメリットがあるでしょう。
なお一括支払いの場合は、医療費控除の対象となることが多く、年末の確定申告時に一定額を控除できる可能性があります。
クレジットカードでの分割支払いは、支払いを数回に分けて行えるため高額な治療費をまとめて1度に支払うことが難しい場合に有効です。
一度に高額な治療費を支払う必要がないというメリットがありますが、分割手数料が発生するため、一括支払いと比べると総支払い額が高くなります。
クレジットカードでの分割支払いでも、医療費控除の対象となることが多いです。
年末の確定申告時に、控除できるか確認しましょう。
デンタルローンは、専門の金融機関によって20歳以上の安定した収入がある人に提供されている、歯科治療専用の分割支払いサービスです。
利用には審査が必要で全員が利用できるわけではありませんが、活用できれば歯列矯正の治療費用を月々分割して支払うことができます。
クレジットカードの分割支払い同様、高額な治療費をまとめて支払う必要がなく、治療開始時の負担を軽減できるというメリットがあります。
クレジットカードの分割に比べて金利手数料が安い点も、魅力といえるでしょう。
ただし利息は発生するため、最終的な支払い総額としては、一括支払いよりも増えます。 また医院によっては取り扱いがないこと、手続きが煩雑になりやすいことにも注意が必要です。
デンタルローンを利用した場合でも、年間の医療費が一定額を超えていれば、医療費控除の対象となります。
多目的ローンは銀行や消費者金融などが提供するキャッシングサービスで、歯列矯正という目的に限定されずに利用できます。
多目的ローンはデンタルローンのように目的が限定されておらず、ほかの支出にも充てることができるといったメリットがあります。
金利手数料も、デンタルローンが平均4〜8%であるのに対し、多目的ローンは通常10%以上かかります。
多目的ローンを利用する際には、月々の支払いが問題なく行えるか必ず確認するようにしましょう。
クリニックによっては、院独自の分割払いプランを提供している場合があります。
メリットは、金融機関を介さず直接クリニックと支払い条件を決めることができるため、手続きが簡単な点です。クリニックによっては金利がかからないこともあります。 ただし、すべてのクリニックが提供しているわけではありません。
院内分割払いにする場合も、ほかの支払い方法と同様に、年間の医療費が一定額を超えれば医療費控除が適用されます。
歯列矯正において、保険適用が可能なケースは限られています。
適用できるのは、顎変形症と診断され外科手術を伴う矯正治療が必要な場合、先天的な歯の欠如が3本以上ある場合などです。
保険適用が認められる場合、矯正治療にかかる費用は大幅に軽減されます。 一般的に100万円程度かかる矯正治療の3割負担であれば、窓口負担額の費用相場は30万円程度〜です。
歯列矯正にかかる費用は、大人と子どもで異なります。これは治療の複雑さや期間、使用する装置の種類が異なるためです。
大人の場合、歯列矯正の費用相場は50万〜160万円程度です。
歯の移動が難しい場合や、矯正に伴ってほかの治療が必要な場合には、より高い費用になることもあります。
一方で子どもの費用相場は、30万〜60万円程度です。 子どもの歯はまだ成長段階にあるため、比較的短期間で効果が見込めることが多く、その結果、大人に比べて費用を低くおさえられる傾向にあります。
歯列矯正の費用がクリニックによって異なる理由は、採用される矯正方法の違いにあります。クリニックによって使用される技術や装置、治療プランは多種多様で、これにより費用が変動するのです。
歯列矯正の分野では「トータルフィー」という言葉がよく使われます。 これは「全体の費用」を意味し、その名の通り初診から治療終了までにかかるすべてを含んだ金額です。
例えば、基本料金が安くても通院費用や調整費が高い場合、トータルフィーは高くなってしまうかもしれません。その他リテーナー費用や緊急時の対応費用など、細かい部分でトータルフィーが変わります。
矯正治療を検討する際は、目先の金額でなくトータルフィーを比較するようにしましょう。
歯列矯正は、矯正方法や歯の状態によって、治療のアプローチと費用が大きく異なります。
多くの人にとって、矯正治療にかかる費用はもっとも気になるポイントでしょう。矯正治療は1人1人の歯の状態に合わせてカスタマイズされるため、一概に費用を決めることは難しいですが、最近では費用を抑えつつ効果的な矯正を行う方法も増えています。
自分の歯並びが気になる人は、まずは歯科クリニックでの相談から始めてみましょう。
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詳しい診断のために、最寄りの提携医院で、いろいろな検査をします。
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