前歯部反対咬合の改善の安定性:2年間の追跡調査を伴うランダム化比較試験

前歯部反対咬合の改善の安定性:2年間の追跡調査を伴うランダム化比較試験

Stability of anterior crossbite correction: a randomized controlled trial with a 2-year follow-up.

著者Anna-Paulina Wiedel, Lars Bondemark
掲載誌The Angle orthodontist
掲載日2016年6月
矯正歯科
ブラケット矯正治療期間歯の移動保定小児矯正比較研究

要旨

混合歯列期における前歯部反対咬合の改善において、固定式装置と可撤式装置の安定性を比較評価することを目的として本研究は実施された。混合歯列期の前歯部反対咬合患者64名を対象に、固定式マルチブラケット装置群と可撤式プロトルージョンスプリング装置群にランダムに割り付け、保定終了時(T1)および保定終了2年後(T2)の安定性を評価した。T1では両群ともにほぼ全ての症例で反対咬合が改善され、T2においてもその治療結果は両群間で同等に安定していた。オーバージェット、オーバーバイト、歯列弓長の軽微な変化はT1で観察されたが、臨床的意義はなく、T2でも変化はなかった。混合歯列期の前歯部反対咬合は、固定式または可撤式装置のいずれによっても長期的に安定した改善が可能であり、どちらの装置も推奨される。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、混合歯列期のお子さんの前歯の反対咬合(受け口)の治療について、固定式の装置と取り外し式の装置のどちらがより安定した結果をもたらすかを比較したランダム化比較試験です。1本以上の前歯に反対咬合がある64名の患者さんを対象に、骨格性の問題がないことなどを条件として選ばれました。治療前、保定期間終了時、そして保定終了から2年後まで、長期的な治療の安定性を追跡調査しました。

🦷 使った装置・方法

患者さんをランダムに2つのグループに分け、一方には歯に直接つける固定式のマルチブラケット装置を、もう一方には取り外しができるプロトルージョンスプリング付きの可撤式装置を使って治療を行いました。

📏 何を測った?

主要な評価項目として、反対咬合が改善された割合、上顎前歯と下顎前歯の水平的な距離であるオーバージェット、垂直的な距離であるオーバーバイト、そして歯列弓の長さを測定しました。これらの測定は、治療前、保定終了時、保定終了2年後の歯型模型を使って行われました。

📊 主な結果

  • 保定期間終了時(T1)には、固定式装置グループの全患者さんで、また可撤式装置グループでは1名を除く全ての患者さんで前歯の反対咬合が改善されていました。
  • 保定終了から2年後(T2)の時点でも、治療結果はほとんどの患者さんで安定しており、固定式装置と可撤式装置のどちらのグループでも同程度の安定性が保たれていました。
  • 治療開始時(T0)から保定期間終了時(T1)にかけて、オーバージェット、オーバーバイト、歯列弓長の測定値に、固定式装置グループと可撤式装置グループの間でわずかな違いが見られましたが、これは臨床的に大きな意味を持つものではありませんでした。
  • これらのわずかな変化は、保定終了2年後(T2)の時点でも変わらず、長期的な安定性に影響を与えないことが示されました。

💡 臨床で使えるポイント

  • 混合歯列期のお子さんの前歯の反対咬合は、固定式のマルチブラケット装置でも、取り外しができる可撤式装置でも、どちらを使っても長期的に安定した治療結果が得られることが示されました。
  • したがって、患者さんの協力度や生活スタイル、保護者の方の希望に合わせて、どちらのタイプの装置も安心して選択できるでしょう。
  • 早期治療として前歯の反対咬合を改善する際には、装置の選択肢が広がるため、より個々の患者さんに合った治療計画を立てることが可能です。