矯正歯科セラピストの導入は治療結果に影響を与えたか?

矯正歯科セラピストの導入は治療結果に影響を与えたか?

Orthodontic therapists - has their introduction affected outcomes?

著者C Rooney, H Dhaliwal, T Hodge
掲載誌British dental journal
掲載日2018年3月
矯正歯科
ブラケット矯正治療期間比較研究成人矯正小児矯正

要旨

本研究は、イギリスの2つの矯正歯科専門医院において、矯正歯科セラピスト(Orthodontic Therapists: OTs)の導入が矯正治療の質の向上や変化にどのような影響を与えたかを評価することを目的として実施された。3名の矯正専門医を対象に、OT導入前(T1:単独診療)と導入後(T2:OTとの共同診療)の2つの時期における固定式装置を用いた治療症例を、各時期30名ずつ(計180名)遡及的に抽出した。ピア評価評価指数(PAR index)を用いた客観的評価の結果、OT導入前後で治療の質に有意な変化は認められなかった。監督下のOTによる診療は、専門医単独での診療と同等の治療品質を維持できることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

矯正歯科セラピスト(OT)の導入が治療の質に与える影響を調べた、遡及的な横断的観察研究です。イギリスの2つの専門医院で、3名の矯正専門医が担当した計180名の患者さんを対象としています。OT導入前の専門医単独での診療時期と、3年以上の経験を持つOTと共同で診療を行った時期の症例を比較しました。対象はすべて固定式装置による治療を完了した患者さんで、2014年にデータ収集が行われました。

🦷 使った装置・方法

マルチブラケット装置などの固定式装置を用いました。専門医が治療計画を立て、実際の処置を専門医とOTが分担して行う体制で治療が進められました。

📏 何を測った?

治療の質を客観的に評価するため、PARインデックス(歯並びの改善度を数値化する指標)を測定しました。また、治療期間や来院回数についてもデータベースから抽出して評価しました。

📊 主な結果

  • 矯正歯科セラピスト(OT)が診療に加わった後でも、PARインデックスで評価された治療の質に有意な変化は認められませんでした。
  • 3名の専門医(A、B、C)それぞれの症例において、OT導入前後で治療結果の質は一貫して同等に維持されていました。
  • 専門医の監督下で、3年以上の経験を持つOTが処置を分担する体制は、臨床的なアウトカムを損なわないことが示されました。
  • 治療期間や来院回数についても、OTの導入によって悪影響が出ることはなく、効率的な診療体制が構築されていました。

💡 臨床で使えるポイント

歯科衛生士などのスタッフに処置を委任する際、治療の質が落ちるのではないかという懸念を払拭する内容です。適切なトレーニングと歯科医師による適切な監督があれば、チーム医療によって高い治療品質を維持できることが示唆されています。明日の診療から、スタッフの役割分担を再検討し、より効率的な医院運営を目指す根拠として活用できます。