カスタムメイド矯正装置と既製品矯正装置を用いた矯正治療:ランダム化比較試験

カスタムメイド矯正装置と既製品矯正装置を用いた矯正治療:ランダム化比較試験

Orthodontics with Customized versus Noncustomized Appliances: A Randomized Controlled Clinical Trial.

著者E W Penning, R H J Peerlings, J D M Govers, R J Rischen, K Zinad, E M Bronkhorst, K H Breuning, A M Kuijpers-Jagtman
掲載誌Journal of dental research
掲載日2017年12月
矯正歯科
ブラケット矯正治療期間比較研究デジタル矯正成人矯正患者満足度

要旨

本研究は、カスタムメイドの固定式矯正装置システムと既製品システムの治療期間および治療結果の質を評価することを目的として実施された。180名の非抜歯症例患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)であり、Insignia(カスタムメイド)群とDamon Q(既製品)群に割り付けられた。主要結果として、治療期間はカスタムメイド群で1.29年、既製品群で1.24年であり、有意差は認められなかった。また、治療後のPAR(Peer Assessment Rating)スコアによる評価でも両群間に有意差はなく、治療の質は同等であった。本研究の結果、カスタムメイド装置が治療期間の短縮に寄与するという根拠は見出されなかった。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、個々の患者さんに合わせて作られる「カスタムメイド装置」と、一般的な「既製品装置」のどちらが早く、きれいに治るかを調べたランダム化比較試験(RCT)です。180名の患者さんを対象とし、最終的にカスタムメイド群85名、既製品群89名のデータを分析しました。対象者は非抜歯で治療を行う患者さんで、2名の経験豊富な矯正歯科医が治療を担当しました。治療開始から終了までの期間や、歯並びの改善度合いを詳しく比較しています。

🦷 使った装置・方法

カスタムメイド装置として「Insignia(インシグニア)」、既製品装置として「Damon Q(デイモンQ)」を使用しました。どちらもセルフライゲーションブラケットを用いた固定式の装置です。

📏 何を測った?

治療にかかった期間(年数)、治療前後の歯並びの質を評価するPARスコア、通院回数、ブラケットの脱離回数、および患者さんからの苦情の数を測定しました。

📊 主な結果

  • 治療期間はカスタムメイド群で1.29±0.35年、既製品群で1.24±0.37年であり、統計的な有意差は認められませんでした。
  • 治療後の歯並びの質(PARスコア)は、カスタムメイド群が5.38±3.75、既製品群が5.93±3.58であり、両群で同等の仕上がりでした。
  • カスタムメイド群では、既製品群と比較してブラケットの脱離が多く、治療計画にかかる時間も長く、患者さんからの苦情も有意に多いという結果でした(p < 0.05)。
  • 装置の種類よりも、担当する歯科医師の違いの方が、治療期間や結果の質、通院回数に大きな影響を与えていました(p < 0.05)。
  • 治療前のPARスコアが高い(不正咬合が重度である)ほど、治療期間が長くなり、通院回数も増える傾向がありました(p < 0.05)。

💡 臨床で使えるポイント

カスタムメイド装置を使えば必ずしも治療が早く終わるわけではないため、装置のブランド力だけに頼らず、個々の症例の難易度を見極めることが重要です。また、装置の選択以上に「誰が治療を行うか」という術者の技術や判断が結果を左右するため、基本的なメカニクスや診断能力の向上に注力すべきです。カスタムメイド装置は脱離や計画の手間が増える可能性も考慮し、導入を検討しましょう。