固定式矯正装置装着患者における洗口液の抗菌活性への影響:ランダム化比較試験

固定式矯正装置装着患者における洗口液の抗菌活性への影響:ランダム化比較試験

Impact of Mouthwashes on Antibacterial Activity of Subjects with Fixed Orthodontic Appliances: A Randomized Clinical Trial.

著者A Nishad, N S Sreesan, Joseph Joy, Lakshmi Lakshmanan, Joyce Thomas, V A Anjali
掲載誌The journal of contemporary dental practice
掲載日2018年8月
矯正歯科
ブラケット矯正成人矯正比較研究

要旨

本研究は、固定式矯正装置を装着した患者における洗口液の抗菌活性への影響を評価することを目的として実施された。非抜歯のクラスI症例60名を対象とし、クロルヘキシジン(CHX)群、ニーム洗口液群、蒸留水群(対照群)の3群(各20名)にランダムに割り当てるランダム化比較試験を行った。介入30日後、CHX群とニーム群の両方でプラーク指数(PI)、歯肉指数(GI)、およびミュータンス菌(Streptococcus mutans)のコロニー数が有意に減少した(PI: p=0.002, GI: p=0.032)。本研究の結果から、ニーム洗口液はCHXと同等の抗菌効果を示し、固定式矯正装置装着中の口腔衛生管理における有効な代替手段となり得ることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

固定式矯正装置(マルチブラケット)を使用している患者さんを対象に、洗口液が細菌や歯ぐきの状態に与える影響を調べたランダム化比較試験(RCT)です。60名の非抜歯で治療中の患者さん(クラスI症例)を対象とし、20名ずつ3つのグループに分けて比較を行いました。調査期間は矯正治療開始から30日間で、洗口液の種類によってお口の中の環境がどのように変化するかを追跡しています。

🦷 使った装置・方法

固定式の矯正装置を装着している患者さんに、クロルヘキシジン(CHX)洗口液、天然成分のニーム(Neem)洗口液、または蒸留水(対照群)のいずれかを毎日使用してもらいました。

📏 何を測った?

治療開始時と30日後に、プラークの付着量(PI)、歯肉の炎症状態(GI)、およびむし歯の原因菌であるミュータンス菌(Streptococcus mutans)のコロニー数を測定しました。

📊 主な結果

  • 介入前は、3つのグループ間でプラーク指数、歯肉指数、ミュータンス菌数に統計的な差はありませんでした。
  • 30日後の評価では、クロルヘキシジン群とニーム群の両方で、プラーク指数(p=0.002)と歯肉指数(p=0.032)が有意に減少しました。
  • ミュータンス菌のコロニー数についても、クロルヘキシジン群とニーム群の両方で有意な減少が認められ、対照群との間に明確な差がありました。
  • ニーム洗口液は、化学的な洗口液であるクロルヘキシジンと同等の抗菌効果を示しました。

💡 臨床で使えるポイント

矯正装置の周囲は汚れが溜まりやすく、脱灰や歯肉炎のリスクが非常に高い部位です。定番のクロルヘキシジンは非常に有効ですが、着色や味の好みが問題になる場合は、天然由来のニーム洗口液も同等の効果が期待できる代替案になります。患者さんのセルフケアのモチベーションに合わせて、これらの洗口液の併用を提案することで、装置装着中のトラブルを未然に防ぎましょう。