矯正治療および異なるフッ化物使用法がう蝕誘発細菌数とう蝕リスクに及ぼす影響:ランダム化比較試験

矯正治療および異なるフッ化物使用法がう蝕誘発細菌数とう蝕リスクに及ぼす影響:ランダム化比較試験

Effects of orthodontic treatment and different fluoride regimens on numbers of cariogenic bacteria and caries risk: a randomized controlled trial.

著者Hanna Enerbäck, Marie Möller, Cathrine Nylén, Cecilia Ödman Bresin, Ingrid Östman Ros, Anna Westerlund
掲載誌European journal of orthodontics
掲載日2019年4月
矯正歯科
ブラケット矯正小児矯正成人矯正比較研究

要旨

本研究は、固定式装置を用いた矯正治療がう蝕リスクおよびう蝕誘発細菌数に与える影響と、異なるフッ化物使用法の予防効果を検証することを目的として実施された。12〜20歳の患者255名を対象に、1450ppmフッ化物配合歯磨剤のみ(対照群)、同歯磨剤と0.2%フッ化ナトリウム洗口液の併用群、5000ppm高濃度フッ化物配合歯磨剤群の3群に割り当てるランダム化比較試験を行った。1年間の追跡の結果、対照群ではう蝕リスクが有意に上昇したが(P < 0.0001)、洗口液併用群および高濃度歯磨剤群ではリスクの上昇が抑制された。矯正治療中のう蝕リスク増大を防ぐには、高濃度フッ化物製剤の併用が推奨される。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

矯正治療中の虫歯リスクをどう抑えるかを調べた、信頼性の高い「ランダム化比較試験(RCT)」です。スウェーデンの専門クリニックに通う12歳から20歳の患者さん255名を対象に、上下顎に固定式の矯正装置(マルチブラケット装置)を装着して調査しました。参加者は3つのグループに分けられ、1年間にわたって異なるフッ化物ケアの効果を比較しています。

🦷 使った装置・方法

全員が上下顎に固定式装置を装着し、ケア方法として「通常の歯磨き粉(1450ppm)のみ」「通常の歯磨き粉+0.2%フッ化ナトリウム(NaF)洗口液」「高濃度歯磨き粉(5000ppm)」のいずれかを使用しました。

📏 何を測った?

「カリオグラム(Cariogram)」というソフトを用いて総合的な虫歯リスクを評価したほか、唾液中の虫歯原因菌(ミュータンス菌など)の数を測定しました。

📊 主な結果

  • 通常の歯磨き粉(1450ppm)のみを使用していたグループでは、矯正治療開始から1年後、虫歯のリスクが統計的に有意に上昇しました(p < 0.0001)。
  • 0.2%フッ化ナトリウム洗口液を併用したグループ、および5000ppmの高濃度歯磨き粉を使用したグループでは、1年後も虫歯リスクの上昇は見られず、低い状態が維持されました。
  • 虫歯の原因となる細菌の数は、フッ化物の使用方法に関わらず、すべてのグループで治療前より有意に増加していました。

💡 臨床で使えるポイント

固定式装置を装着すると、どれだけ丁寧に磨いても虫歯菌は増えてしまいます。そのため、通常の歯磨き粉だけでは不十分です。患者さんには「5000ppmの高濃度歯磨き粉」への切り替えか、あるいは「0.2%フッ化ナトリウム洗口液」の追加を強く提案しましょう。これが矯正中の脱灰や虫歯を防ぐ最も効果的なアクションになります。