クリアアライナーおよび2種類の固定式矯正装置による治療後の歯根長の評価:パイロットスタディ

クリアアライナーおよび2種類の固定式矯正装置による治療後の歯根長の評価:パイロットスタディ

Evaluation of root length following treatment with clear aligners and two different fixed orthodontic appliances. A pilot study.

著者Osama Eissa, Terry Carlyle, Tarek El-Bialy
掲載誌Journal of orthodontic science
掲載日2020年9月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正歯根吸収比較研究成人矯正

要旨

本研究は、Smart Track®素材を用いたクリアアライナー(マウスピース矯正)と、2種類の固定式矯正装置(従来型ブラケットおよびデイモンシステム)による治療後の上顎切歯の歯根吸収の程度を比較評価することを目的として実施された。対象は33名の患者で、各群11名に割り当てられた。治療前後のコーンビームCT(CBCT)を用いて上顎切歯の歯根長を測定した。結果として、3群間において歯根吸収量に統計学的な有意差は認められなかった。本研究より、クリアアライナーは固定式装置と比較して、歯根吸収のリスクにおいて同等であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

本研究は、3種類の異なる矯正装置を用いた場合に、歯根吸収のリスクに違いがあるかを検証した比較研究(パイロットスタディ)です。合計33名の成人患者を対象とし、インビザライン(Smart Track素材)、従来型の固定式ブラケット、セルフライゲーションブラケット(デイモンシステム)の3つのグループ(各11名)に分けて比較を行いました。治療前と治療後に撮影したCBCT画像を用いて、上顎前歯の歯根の状態を詳細に分析しています。

🦷 使った装置・方法

マウスピース矯正装置にはインビザライン(Smart Track素材)を使用し、固定式装置には従来型のエッジワイズブラケットと、デイモンQブラケットを使用しました。それぞれの装置で非抜歯による矯正治療を行い、その影響を比較しました。

📏 何を測った?

主要評価項目として、治療前(T1)と治療後(T2)に撮影されたCBCT画像上で上顎中切歯と側切歯の歯根長を計測し、治療による歯根吸収量(長さの減少分)を算出しました。

📊 主な結果

  • 3つのグループすべてにおいて、治療後にわずかな歯根長の減少(歯根吸収)が認められましたが、臨床的に重篤なレベルではありませんでした。
  • 統計学的解析の結果、インビザライン群、従来型ブラケット群、デイモンブラケット群の3群間において、歯根吸収量に有意な差はありませんでした(p > 0.05)。
  • 上顎中切歯および側切歯のいずれにおいても、装置の種類による吸収量の違いは確認されませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

マウスピース矯正(インビザライン)は、固定式装置と比較して歯根吸収のリスクが高まることはなく、同程度に安全であることが示唆されました。患者さんへの説明において、マウスピース矯正だからといって歯根吸収が起きないわけではありませんが、ワイヤー矯正と比べてリスクが増大するわけではないことを伝える根拠として活用できます。