混合歯列期における矯正治療および口腔筋機能訓練が筋機能および骨格的問題の改善に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタ解析

混合歯列期における矯正治療および口腔筋機能訓練が筋機能および骨格的問題の改善に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタ解析

Effect of orthodontic management and orofacial muscle training protocols on the correction of myofunctional and myoskeletal problems in developing dentition. A systematic review and meta-analysis.

著者Despina Koletsi, Margarita Makou, Nikolaos Pandis
掲載誌Orthodontics & craniofacial research
掲載日2019年5月
矯正歯科
小児矯正顎矯正比較研究システマティックレビュー

要旨

本研究は、乳歯列期および混合歯列期の小児を対象に、早期矯正治療と口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)が前歯部開咬の改善、ならびに口呼吸、嚥下、舌の安静位や圧の正常化に及ぼす影響を評価することを目的として実施された。MEDLINE、Cochrane、LILACS等のデータベースを用いて、ランダム化比較試験(RCT)および臨床比較試験(CCT)を検索し、質評価を行った。15件の論文が抽出されたが、メタ解析が可能だったのは2件のRCTのみであった。混合歯列期の開咬改善において、接着式のリンガルスパとバンド式の固定式装置の間に有意な差は認められなかった(SMD: -0.03; 95%CI: -0.81, 0.74; P=0.94)。早期の筋機能アプローチは有望ではあるものの、現時点ではエビデンスの質が低く、特定の装置の優位性を裏付ける十分な根拠は不足している。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、過去の信頼性の高い論文を収集して分析した「システマティックレビューおよびメタ解析」という形式の研究です。乳歯列期から混合歯列期の子供たちを対象とした15件の論文(8件のランダム化比較試験と7件の臨床比較試験)を調査しました。主に前歯の開咬(オープンバイト)や、口呼吸、飲み込みの癖、舌の位置といったお口の機能の問題が、矯正装置やトレーニングでどう変わるかを検証しています。265件の候補から厳選された論文を対象としています。

🦷 使った装置・方法

リンガルスパ(舌を突き出すのを防ぐ突起状の装置)や、バンドを用いた固定式の矯正装置、および口腔筋機能療法(MFT)などが用いられました。

📏 何を測った?

横顔のレントゲン(セファロ)による骨格や歯の動きの変化、お口の閉じやすさ、舌の安静時の位置や圧力、そして飲み込み方のパターンの変化を測定しました。

📊 主な結果

  • 混合歯列期の子供の開咬治療において、接着式のリンガルスパとバンド式の固定装置を比較したところ、治療効果に統計的な有意差は認められませんでした(標準化平均差 SMD: -0.03; 95%信頼区間: -0.81〜0.74; P=0.94)。
  • 早期の矯正治療や筋機能訓練は、開咬の改善や舌の位置の正常化に対して肯定的な結果が示唆されていますが、分析に含めることができた研究の質にはばらつきがありました。
  • 多くの研究で骨格的・歯槽的な変化や、口唇閉鎖不全の改善が報告されていましたが、数値データを統合して解析できたのはごく一部の研究に限られていました。

💡 臨床で使えるポイント

早期の筋機能訓練や装置の使用は開咬改善に有効である可能性が高いですが、特定の装置(スパか固定式かなど)にこだわらず、症例に合わせて選択して良いと言えます。ただし、現時点では科学的根拠が十分とは言えないため、治療経過を慎重にモニタリングし、必要に応じてMFTと装置を適切に組み合わせることが重要です。