3次元測定を用いたマウスピース型矯正装置と歯根吸収の関連性:システマティックレビュー

3次元測定を用いたマウスピース型矯正装置と歯根吸収の関連性:システマティックレビュー

Association of Orthodontic Clear Aligners with Root Resorption Using Three-dimension Measurements: A Systematic Review.

著者Arwa Aldeeri, Lulu Alhammad, Amjad Alduham, Waad Ghassan, Sanaa Shafshak, Eman Fatani
掲載誌The journal of contemporary dental practice
掲載日2019年6月
矯正歯科
マウスピース矯正歯根吸収システマティックレビュー比較研究デジタル矯正

要旨

本研究は、3次元画像(CBCT)を用いた測定に基づき、マウスピース型矯正装置による治療中の歯根吸収(OIIRR)に関するエビデンスを評価することを目的として実施されたシステマティックレビューである。主要なデータベースから関連文献を検索・精査した結果、マウスピース矯正においても歯根吸収は生じるものの、その程度は概ね軽微であり、固定式装置と比較して有意に少ない傾向が示された。本結果は、マウスピース矯正が歯根吸収のリスク管理において有利な選択肢となり得ることを示唆しているが、重度な移動を行う際には慎重なモニタリングが必要である。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

過去の文献を網羅的に調査・分析したシステマティックレビューです。インビザラインなどのマウスピース型矯正装置(クリアアライナー)を使用した治療において、3次元画像(CBCT)を用いて歯根吸収(OIIRR)を評価している研究を対象としました。最終的に基準を満たした6本の論文を抽出し、マウスピース矯正によってどの程度歯根吸収が起こるのか、また固定式装置と比較してどうなのかを検証しています。

🦷 使った装置・方法

マウスピース型矯正装置(クリアアライナー)を使用した症例に関する文献をデータベース(PubMed, Cochraneなど)から検索し、分析しました。

📏 何を測った?

治療前後のCBCT(歯科用コーンビームCT)画像を用いて、歯根の長さや体積の変化を3次元的に測定したデータを主要評価項目としました。

📊 主な結果

  • マウスピース型矯正装置による治療を受けた患者の約半数以上に何らかの歯根吸収が認められましたが、その程度は軽微でした。
  • 歯根吸収量は、ほとんどの症例で元の歯根長の10%未満にとどまりました。
  • 固定式装置(マルチブラケット)と比較した研究では、マウスピース矯正の方が歯根吸収の発生率や重症度が有意に低い傾向にありました。
  • 歯根吸収は主に前歯部で観察される傾向がありました。

💡 臨床で使えるポイント

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて重篤な歯根吸収のリスクが低いことが示唆されています。そのため、歯根が短い患者さんや、過去に外傷の既往があるなど歯根吸収のリスクが高いケースにおいて、マウスピース矯正は安全性の高い選択肢となります。ただし、リスクがゼロではないため、治療期間が長引く場合や大きな移動を行う際は、定期的なレントゲン撮影による経過観察を怠らないようにしましょう。