固定式矯正装置治療中のエナメル質脱灰を予防するためのシーラントおよびボンディング材の有効性:システマティックレビューおよびメタ解析

固定式矯正装置治療中のエナメル質脱灰を予防するためのシーラントおよびボンディング材の有効性:システマティックレビューおよびメタ解析

Efficacy of sealants and bonding materials during fixed orthodontic treatment to prevent enamel demineralization: a systematic review and meta-analysis.

著者R Kamber, H Meyer-Lueckel, D Kloukos, C Tennert, R J Wierichs
掲載誌Scientific reports
掲載日2021年11月
矯正歯科
ブラケット矯正比較研究システマティックレビュー成人矯正小児矯正

要旨

本研究は、固定式矯正装置を用いた治療中に発生するホワイトスポット(WSL:White Spot Lesions)の予防における、シーラントやボンディング材の有効性を検証することを目的として実施された。3つのデータベースから抽出された24件の研究(患者1,117名、12,809歯)を対象にシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。解析の結果、シーラントの使用は未処置群と比較してWSLの発生を有意に抑制した(RR 0.70)。一方で、フッ素徐放の有無による有意な差は認められなかった(RR 0.84)。本研究により、シーラントの使用はWSL予防に有効である可能性が示唆されたが、依然として標準的な予防戦略の確立には至っていない。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

固定式矯正装置(マルチブラケット装置)を使用している患者さんを対象に、シーラントやボンディング材がホワイトスポット(エナメル質の脱灰)をどれくらい防げるかを調べたシステマティックレビューおよびメタ解析です。11歳から40歳までの患者1,117名、合計12,809本の歯を対象とした24件の臨床研究を統合して分析しています。調査では34種類の異なる材料が比較されており、フッ素を出すタイプと出さないタイプの影響も検証されました。

🦷 使った装置・方法

ブラケット周囲のエナメル質に塗布するシーラント剤や、ブラケット装着時に使用するボンディング材の効果を、何も塗布しない場合や異なる材料間で比較しました。

📏 何を測った?

視診や触診によるホワイトスポットの評価、およびレーザー蛍光光度法(DIAGNOdentなど)を用いて、エナメル質の脱灰状態を測定しました。

📊 主な結果

  • シーラントを使用したグループは、何も使用しなかったグループと比較して、ホワイトスポットが発生するリスクが有意に低いことが示されました(相対リスク RR 0.70、95%信頼区間 0.53-0.93)。
  • フッ素を放出する材料を使用しても、フッ素を放出しない材料と比較してホワイトスポットの発生をさらに抑制するという明確な証拠は見つかりませんでした(RR 0.84、95%信頼区間 0.70-1.01)。
  • 分析対象となった研究の多くはエビデンスレベルが「非常に低い」と評価されており、結果の解釈には注意が必要です。
  • レーザー蛍光光度法による測定結果については、データが不十分であったためメタ解析を行うことができませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

固定式装置による矯正治療を開始する際、ブラケット周囲にシーラントを塗布することはホワイトスポット予防に一定の効果が期待できます。ただし、フッ素徐放性の有無だけで材料を選ぶ決定的な根拠はないため、操作性や耐久性を重視して選択しても良いでしょう。最も重要なのは、特定の材料に頼り切るのではなく、患者さんのセルフケアを含めた総合的な予防管理を継続することです。