インビザラインと従来の固定式装置における治療結果の質の比較

インビザラインと従来の固定式装置における治療結果の質の比較

Differences in finished case quality between Invisalign and traditional fixed appliances.

著者Lin Eric, Julien Katie, Kesterke Matthew, Buschang Peter H
掲載誌The Angle orthodontist
掲載日2022年3月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正治療期間比較研究成人矯正保定

要旨

本研究は、SmartForce機能を有するインビザラインと従来の固定式装置の治療効果および保定後の変化を比較することを目的として実施された。66名の患者を対象としたランダム化比較試験であり、治療前はABO Discrepancy Index (DI)、治療終了時および保定6ヶ月後はABO Objective Grading System (OGS)を用いて評価した。結果、固定式装置群はインビザライン群より治療期間が約0.4年短かったが、OGS総スコアに群間差は認められなかった。軽度な不正咬合において、インビザラインは治療期間を要するものの、治療および保定後の咬合結果は固定式装置と同等であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

66人の成人患者さん(インビザライン群32名、固定式装置群34名)を対象としたランダム化比較試験(RCT)です。年齢中央値は約26〜27歳で、ABO Discrepancy Index(DI)スコアが4.5〜7.0程度の軽度な不正咬合の症例が対象となりました。治療終了時および保定開始から6ヶ月後の時点で、治療結果の質や後戻りの状況に差があるかを比較・検証しています。

🦷 使った装置・方法

SmartForce機能(アタッチメント等)を有するインビザライン(アライナー矯正)と、従来のブラケットとワイヤーを用いた固定式装置(マルチブラケット装置)を使用しました。

📏 何を測った?

米国矯正歯科医会(ABO)の客観的評価システム(OGS)を用いて治療終了時と保定6ヶ月後の咬合の質を数値化し、あわせて治療にかかった期間も測定しました。

📊 主な結果

  • 治療期間に関しては、固定式装置群の方がインビザライン群よりも有意に約0.4年(4.8ヶ月)早く終了しました(P < .001)。
  • 治療終了時(T1)および保定6ヶ月後(T2)の咬合状態(OGS総スコア)には、両群間で統計学的な有意差は認められず、同等の仕上がりが得られました。
  • 保定期間中の変化として、インビザライン群ではアライメント(歯の整列)とオーバージェット(水平被蓋)が有意に悪化しましたが、頬舌的な傾斜や咬合関係は改善傾向を示しました。

💡 臨床で使えるポイント

軽度な不正咬合(DIスコア4.5〜7.0程度)の患者さんに対しては、「インビザラインでもワイヤー矯正と同等の治療結果が得られる」と自信を持って説明できます。ただし、治療期間については「インビザラインの方が平均して約5ヶ月ほど長くかかる可能性がある」という点を、初診相談の段階で具体的に伝えておくことで、患者さんの期待値コントロールがしやすくなります。また、インビザライン群では保定期間中にオーバージェットの後戻りが見られたため、治療終了時にはフィックスリテーナーの併用を検討するか、リテーナーの使用時間を厳格に管理するよう指導してください。