マウスピース型矯正装置が発音に及ぼす影響:システマティックレビュー

マウスピース型矯正装置が発音に及ぼす影響:システマティックレビュー

The effect of clear aligners on speech: a systematic review.

著者Hosam Ali Baeshen, Tarek El-Bialy, Abdulrahman Alshehri, Wael Awadh, Jacob Thomas, Harnoor Dhillon, Shankargouda Patil
掲載誌European journal of orthodontics
掲載日2023年2月
矯正歯科
マウスピース矯正システマティックレビュー患者満足度治療期間

要旨

本研究は、マウスピース型矯正装置(クリアアライナー)が患者の発音に及ぼす影響を評価することを目的として実施されたシステマティックレビューである。2000年から2021年までの文献を検索し、客観的および主観的な分析を用いた研究を対象とした。主要結果として、装置装着直後には歯擦音を中心とした一時的な発音障害が認められるものの、多くの患者は数日から1週間程度で適応し、正常な発音に回復することが示された。臨床的には、患者に対して一時的な発音の変化と早期の適応について事前に説明し、安心感を与えることが重要である。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

2000年から2021年9月までに発表された文献を対象としたシステマティックレビュー(質の高い研究データを網羅的に分析する研究)です。マウスピース型矯正装置(クリアアライナー)を使用して矯正治療を受けている患者の発音障害について評価した研究を抽出し、分析しました。客観的な音声分析や患者自身の主観的な評価を用いて、装置が発音に与える影響や、その違和感が消失するまでの期間を検証しています。

🦷 使った装置・方法

インビザラインなどのマウスピース型矯正装置(クリアアライナー)を使用し、装着時と非装着時、あるいは治療経過に伴う発音の変化を比較しました。

📏 何を測った?

主に「発音のしにくさ(構音障害)」の発生頻度と種類、および患者が装置に慣れて発音が回復するまでの「適応期間」を測定しました。

📊 主な結果

  • 装置装着直後には、多くの患者において発音の明瞭度が低下することが確認されました。
  • 特に影響を受けやすい音は、サ行、ザ行、シャ行などの歯擦音(/s/, /z/, /sh/など)でした。
  • これらの発音障害は一時的なものであり、大多数の患者は装着開始から数日〜1週間程度で装置に適応し、発音の問題は解消されました。
  • 客観的な音声分析と患者の主観的な感覚は概ね一致する傾向にありました。

💡 臨床で使えるポイント

マウスピース矯正を希望する患者さんに対し、カウンセリング時に「最初はサ行などが話しにくくなることがありますが、平均して1週間程度で慣れて元通り話せるようになります」と具体的に説明しましょう。接客業や人前で話す機会の多い患者さんには特に事前の情報提供が重要で、これにより治療開始後の不安やクレームを防ぐことができます。