アライナー矯正とブラケット矯正を選択した患者の特性および歯科指数の比較

アライナー矯正とブラケット矯正を選択した患者の特性および歯科指数の比較

Characteristics and Dental Indices of Orthodontic Patients Using Aligners or Brackets.

著者Tzu-Han Liao, Jason Chen-Chieh Fang, I-Kuan Wang, Chiung-Shing Huang, Hui-Ling Chen, Tzung-Hai Yen
掲載誌International journal of environmental research and public health
掲載日2022年6月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正成人矯正比較研究審美

要旨

本研究は、アライナー矯正とブラケット矯正を選択した患者の臨床的特性および歯科指数を比較検討することを目的として実施された。2021年に矯正治療を受けた患者170名を対象に、インビザライン群(60名)とメタルブラケット群(110名)に分類し、年齢、DMFT指数、ICONスコア、セファロ分析値を比較した。その結果、インビザライン群はブラケット群に比べ有意に年齢が高く、ICONスコア(治療必要度・難易度)が低かった。また、ブラケット群では下口唇の突出度が有意に大きかった。臨床的には、成人の軽度〜中等度症例ではアライナーが好まれ、若年者や難易度の高い症例ではブラケットが選択される傾向が示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

台湾の長庚記念病院にて2021年に矯正治療を受けた患者170名を対象とした横断研究です。 インビザラインを使用した患者60名と、メタルブラケットを使用した患者110名を比較しました。 対象者の平均年齢は26.1歳で、女性が75%を占めており、それぞれのグループで年齢層、う蝕経験(DMFT指数)、不正咬合の重症度(ICON)、および側貌の形態的特徴にどのような違いがあるかを検証しています。

🦷 使った装置・方法

マウスピース型矯正装置(インビザライン®)と、従来のメタルブラケット装置を使用し、それぞれのグループの患者特性を診療記録や資料から調査しました。

📏 何を測った?

年齢、性別、骨格的な分類、DMFT指数(う蝕・欠損・充填歯数)、ICONスコア(治療の複雑さと必要性の指標)、およびセファロ分析によるEラインに対する下口唇の位置などを測定しました。

📊 主な結果

  • インビザライン群はブラケット群に比べて、患者の平均年齢が有意に高い結果となりました(p = 0.003)。
  • 治療の難易度や必要性を示すICONスコアは、ブラケット群の方が有意に高く(56.8 ± 13.5)、より複雑な症例が多いことが示されました(p = 0.002)。
  • ICONの構成要素のうち「審美性」の項目においても、ブラケット群の方がスコアが高く(状態が悪い)、インビザライン群の方が良好でした(p < 0.001)。
  • セファロ分析における下口唇のEラインからの距離は、ブラケット群(2.8 ± 3.1mm)の方がインビザライン群(1.5 ± 2.4mm)よりも大きく、口元が突出している傾向がありました(p = 0.005)。
  • う蝕経験を示すDMFT指数や、骨格的なクラス分類(I級、II級、III級)には両群間で有意な差はありませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

成人の患者さんは審美性を重視してインビザラインを選ぶ傾向が強く、一方で若年者や難易度の高い症例、口元の突出感が強い症例ではブラケット治療が選択される傾向があります。 初診相談の際、年齢や主訴(見た目の改善か、難易度の高い咬合改善か)に応じて、患者さんがどちらの装置を好む傾向にあるかを予測し、適切な提案を行うための参考になります。 また、インビザライン希望でも重症度が高い場合は、ブラケットの必要性を説明する根拠としても活用できます。