矯正用メタルブラケット撤去時の疼痛軽減における光バイオモジュレーション療法とソフトアクリルウェハーの有効性:臨床試験

矯正用メタルブラケット撤去時の疼痛軽減における光バイオモジュレーション療法とソフトアクリルウェハーの有効性:臨床試験

Efficacy of Photobiomodulation Therapy Versus Soft Acrylic Wafer for Reduction of Pain Associated with Orthodontic Metal Bracket Removal: A Clinical Trial.

著者Reza Fekrazad, Amin Golshah, Ermia Rezaee Shirazi
掲載誌Photobiomodulation, photomedicine, and laser surgery
掲載日2022年7月
矯正歯科
ブラケット矯正比較研究患者満足度成人矯正

要旨

本研究は、矯正治療終了時のメタルブラケット撤去(デボンディング)に伴う疼痛を軽減するために、光バイオモジュレーション療法(PBM:Photobiomodulation)とソフトアクリルウェハーの有効性を比較することを目的として実施された。28名の矯正患者を対象としたスプリットマウスデザインの無作為化臨床試験を行い、各顎面をレーザー照射群、ウェハー群、プラセボ群、無処置群に割り当てた。主要結果として、レーザー群の疼痛スコアはウェハー群(p=0.017)や無処置群(p<0.001)より有意に低かった。本研究により、PBMとウェハーは共に疼痛を軽減するが、特にPBMが最も効果的であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

矯正治療の最後にブラケットを外す際の痛みを減らす方法を調べた、スプリットマウスデザイン(1人の患者さんのお口の中で場所を分けて比較する方法)の無作為化臨床試験です。28名の矯正患者さんを対象に、合計112の顎面(クアドラント)を4つのグループに分けて比較しました。対象者はメタルブラケットを使用している患者さんで、左右上下の部位ごとに異なる処置を行い、その効果を検証しています。治療期間全体の調査ではなく、撤去時の即時的な痛みに焦点を当てた研究です。

🦷 使った装置・方法

940nmのダイオードレーザーを歯の表側と裏側に照射する「光バイオモジュレーション(PBM)」と、患者さんに噛んでもらう「ソフトアクリルウェハー」を使用しました。

📏 何を測った?

ブラケットを外した直後に、患者さんが感じた痛みの強さをVAS(視覚的アナログ尺度)という0から10までの数値で測定しました。

📊 主な結果

  • ダイオードレーザーを使用したグループは、ソフトアクリルウェハー群(p=0.017)、無処置群(p<0.001)、プラセボ群(p<0.001)のすべてと比較して、痛みのスコアが最も低くなりました。
  • ソフトアクリルウェハーを使用した場合も、何もしない場合よりは痛みが軽減されましたが、レーザーほどの効果ではありませんでした。
  • 上顎よりも下顎の方が、痛みのスコアが有意に低いという結果でした(p=0.027)。
  • 第一小臼歯と第二小臼歯は、他の歯種に比べて痛みのスコアが有意に低いことがわかりました(p<0.05)。
  • 性別(p=0.209)や年齢(p=0.095)は、ブラケット撤去時の痛みの感じ方に大きな影響を与えませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

ブラケット撤去時の痛みは患者さんの不快感に直結するため、レーザー装置がある医院では撤去前に940nm付近のレーザー照射を行うことが非常に有効です。レーザーがない場合でも、ソフトアクリルウェハーなどを噛ませて咬合力を利用することで、何もしないよりは痛みを和らげることができます。特に痛みに敏感な上顎の前歯部などでは、これらの対策を積極的に検討することで患者満足度の向上につながります。