固定式矯正装置装着中におけるクロルヘキシジンの使用が歯周組織の健康に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタ解析

固定式矯正装置装着中におけるクロルヘキシジンの使用が歯周組織の健康に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタ解析

Effects of chlorhexidine use on periodontal health during fixed appliance orthodontic treatment: a systematic review and meta-analysis.

著者Umar Hussain, Shamsul Alam, Khalid Rehman, Georgios N Antonoglou, Spyridon N Papageorgiou
掲載誌European journal of orthodontics
掲載日2023年2月
矯正歯科
ブラケット矯正歯の移動成人矯正小児矯正比較研究システマティックレビュー

要旨

本研究は、固定式矯正装置を装着した患者において、補助的にクロルヘキシジン(Chlorhexidine: CHX)含有製品を使用することが歯肉の健康維持に及ぼす有効性を評価することを目的として実施された。5つのデータベースから2021年8月までに発表されたランダム化比較試験(RCT)を抽出し、メタ解析を行った。その結果、20件のRCT(計1001名)が対象となり、短期的にはCHX洗口液の使用により、プラセボ群と比較して歯肉指数(GI)、プラーク指数(PI)、出血指数(BI)、および歯周ポケット深さ(PPD)が有意に改善することが示された。一方、CHXジェルやワニスの有意な効果は認められなかった。固定式装置装着中のCHX洗口液の使用は歯肉炎の抑制に有効であるが、副作用や費用対効果を考慮した慎重な推奨が必要である。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

固定式矯正装置を使用している患者さんを対象に、クロルヘキシジン(CHX)配合のケア用品が歯肉の健康にどれくらい効果があるかを調べたシステマティックレビューおよびメタ解析です。2021年8月までに報告された20件のランダム化比較試験(RCT)を分析対象としており、合計1001名の患者さんのデータがまとめられています。研究では、洗口液、歯磨き粉、ジェル、ワニスといった異なる形態のCHX製品の効果を、プラセボ(偽薬)やフッ化物配合製品と比較・検証しています。

🦷 使った装置・方法

固定式のマルチブラケット装置を装着している患者さんに対し、通常のブラッシングに加えて、クロルヘキシジン(CHX)を含有する洗口液(11件)、歯磨き粉(2件)、ジェル(3件)、ワニス(4件)のいずれかを使用してもらい、その効果を比較しました。

📏 何を測った?

主な評価項目として、歯肉の炎症状態を示す歯肉指数(GI)を測定しました。また、補助的な項目として、プラーク指数(PI)、出血指数(BI)、および歯周ポケット深さ(PPD)についても評価を行いました。

📊 主な結果

  • クロルヘキシジン(CHX)配合の洗口液を短期間使用したグループでは、対照群と比較して歯肉指数(GI)が有意に低下しました(平均差 -0.68、95%信頼区間 -0.97〜-0.38、p < 0.001)。
  • CHX洗口液の使用により、プラーク指数(PI)も有意に改善しました(平均差 -0.65、95%信頼区間 -0.86〜-0.43、p < 0.001)。
  • 出血指数(BI)および歯周ポケット深さ(PPD)についても、CHX洗口液群で有意な改善が認められました(PPDの平均差 -0.60 mm、p = 0.01)。
  • CHX配合のジェルやワニスの使用については、歯肉指数やプラーク指数の改善において明確なメリットは見出されませんでした(p > 0.05)。
  • CHX配合の歯磨き粉は、フッ化物配合の洗口液を併用する場合よりもプラークの除去効果が高いことが示されました(p = 0.04)。

💡 臨床で使えるポイント

固定式装置の装着によりセルフケアが困難になり、歯肉炎が悪化している患者さんには、短期間のクロルヘキシジン洗口液の併用を提案するのが効果的です。ただし、着色や味覚変化などの副作用、コスト面を考慮し、すべての患者さんに漫然と処方するのではなく、リスクの高い時期や症例に絞って活用するのが望ましいでしょう。ジェルやワニスよりも、洗口液の方がエビデンスに基づいた効果が期待できます。