
Presurgical orthodontic decompensation with clear aligners.
本研究は、外科的矯正治療を伴うアライナー矯正において、術前矯正(脱代償)時の歯の移動精度を3次元的に評価することを目的として実施された。骨格性III級不正咬合患者16名を対象に、インビザラインによる術前矯正の開始時と終了時(手術直前)のCBCT画像を用いて、デジタル計画上の予測位置と実際の歯の移動量を比較検討した。その結果、全体的な歯列の整列は可能であったものの、上顎切歯のトルク、下顎犬歯の回転、および臼歯部の側方拡大において、予測と実際の結果に有意な差が認められた。アライナーによる術前脱代償は臨床的に許容範囲内であるが、特定の移動様式においてはオーバーコレクションや補助的な処置が必要であることが示唆された。
骨格性の受け口(クラスIII)と診断され、外科的矯正治療(顎の手術を併用する矯正)を行うことになった患者さん16名を対象とした後ろ向き研究です。 手術の前に行う「術前矯正(脱代償)」をマウスピース型矯正装置(インビザライン)で行った場合、治療計画通りに歯が動いているかを検証しました。 治療開始前と手術直前の2回撮影したCBCT(歯科用CT)データを使用し、3次元的な重ね合わせ技術を用いて精度の評価を行っています。
インビザライン(アライン・テクノロジー社)を使用しました。 治療計画シミュレーション(クリンチェック)上の歯の位置と、実際に術前矯正が終わった時点での歯の位置を、デジタル技術で重ね合わせてズレを計測しました。
各歯の「近遠心・頬舌的な傾斜(トルク・チップ)」、「回転(ローテーション)」、「前後左右の移動量」について、予測値と実測値の差を測定しました。
外科症例の術前矯正にアライナーを使うことは可能ですが、ブラケット矯正に比べて「歯根のトルク」や「回転」のコントロールが難しいです。 特に上顎前歯の角度づけや犬歯のねじれ、奥歯の拡大が必要な場合は、クリンチェック作成時にあらかじめ過剰に動かす設定(オーバーコレクション)を盛り込む必要があります。 また、必要に応じてボタンやエラスティック、アタッチメントの工夫を早期から検討することをお勧めします。