インビザラインによる顎矯正手術患者はマルチブラケット装置患者と比較して術後の腫脹が少ないか?

インビザラインによる顎矯正手術患者はマルチブラケット装置患者と比較して術後の腫脹が少ないか?

Do patients treated with Invisalign have less swelling after orthognathic surgery than those with fixed orthodontic appliances?

著者Praveen Kumar Guntaka, Kevin Kiang, Ryan Caprio, Gareth J Parry, Bonnie L Padwa, Cory M Resnick
掲載誌American journal of orthodontics and dentofacial orthopedics : official publication of the American Association of Orthodontists, its constituent societies, and the American Board of Orthodontics
掲載日2023年2月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正顎矯正比較研究成人矯正

要旨

本研究は、顎矯正手術においてインビザライン(CAT)を使用した場合、固定式装置(FA)と比較して術後の顔面腫脹が軽減されるかを検証することを目的として実施された。ボストン小児病院にて顎矯正手術を受けた患者を対象とした後ろ向きコホート研究であり、3次元画像を用いて術後1週間および3〜6週間の顔面腫脹体積を比較検討した。その結果、CAT群とFA群の間で術後の顔面腫脹量に統計学的な有意差は認められなかった。手術術式による腫脹の差は確認されたものの、矯正装置の種類自体は術後の腫れに影響を与えないことが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

ボストン小児病院にて顎矯正手術(ルフォーI型、BSSO、または上下顎同時手術)を受けた患者を対象とした後ろ向きコホート研究です。インビザラインなどのマウスピース型矯正装置(CAT)を使用した患者16名と、従来のワイヤー矯正装置(FA)を使用した患者16名を比較しました。術前と術後の3D顔面写真を撮影し、装置の違いによって術後の顔の腫れ(体積変化)に差が出るかを検証しました。

🦷 使った装置・方法

術前矯正にインビザラインを使用したグループと、従来のブラケットとワイヤーを使用したグループに分け、3dMDという3次元顔面撮影装置を用いて顔面の形状データを取得しました。

📏 何を測った?

術前(T0)、術後1週間(T1)、術後3〜6週間(T2)の各時点で3D画像を撮影し、顔面の体積変化量(=腫れの量)をデジタルサブトラクション法で定量的に測定しました。

📊 主な結果

  • 術後1週間の時点において、インビザライン群とワイヤー矯正群の間で、顔の腫れの量に統計的な有意差はありませんでした(P = 0.54)。
  • 術後3〜6週間の時点においても、両群間で腫れの量に有意な差は認められませんでした(P = 0.68)。
  • 上下顎同時手術を受けた患者は、単顎手術の患者よりも有意に腫れが大きくなりましたが、これは矯正装置の種類とは無関係でした。
  • 年齢、性別、BMI、手術時間などの交絡因子を調整しても、矯正装置の種類は術後の腫れに関連しないことが確認されました。

💡 臨床で使えるポイント

「マウスピース矯正の方が粘膜刺激が少ないため術後の腫れが少ない」という仮説は立証されませんでした。患者さんへの説明において、装置の違いが術後の顔の腫れに大きく影響することはなく、腫れの程度は主に手術内容(単顎か両顎か)や手術時間に依存することを伝えて良いでしょう。術後の腫脹管理という観点だけで装置を選択する必要性は低いと言えます。