マウスピース型矯正装置による下顎前方誘導は、従来の機能的矯正装置と同じ骨格的・歯槽的効果を持つか?

マウスピース型矯正装置による下顎前方誘導は、従来の機能的矯正装置と同じ骨格的・歯槽的効果を持つか?

Does mandibular advancement with clear aligners have the same skeletal and dentoalveolar effects as traditional functional appliances?

著者Yanqi Wu, Qian Yu, Yunhui Xia, Bo Wang, Siyue Chen, Kaijun Gu, Bojun Zhang, Min Zhu
掲載誌BMC oral health
掲載日2023年2月
矯正歯科
マウスピース矯正顎矯正小児矯正比較研究歯の移動

要旨

本研究は、骨格性II級不正咬合を有する成長期の小児を対象に、マウスピース型矯正装置による下顎前方誘導(MA)と従来の機能的矯正装置(Vanbeek、Herbst、Twin-Block)の治療効果を比較検討することを目的として実施された。治療前後のセファロ分析を行った結果、すべての装置で下顎の成長促進とII級関係の改善が認められた。特にMAは、従来の装置と比較して同等の骨格的効果を示しつつ、下顎切歯の唇側傾斜を有意に抑制できることが明らかとなった。これにより、MAは審美性と歯槽性の制御において有効な選択肢であると示唆される。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

骨格性II級不正咬合(下顎が小さい受け口ではないタイプ)を持つ成長期の子供たちを対象にした、後ろ向きの比較研究です。合計105名の患者さんを、インビザラインのマンディビュラー・アドバンスメント(MA)を使用したグループ(28名)と、従来の機能的装置であるVanbeek(25名)、Herbst(24名)、Twin-Block(28名)を使用した3つのグループの計4群に分けて比較しました。平均年齢は約11〜12歳の成長期にある子供たちです。それぞれの装置が顎の骨の成長や歯の移動にどのような違いをもたらすかを検証しました。

🦷 使った装置・方法

マウスピース型矯正装置(MA機能付き)と、従来からあるVanbeekアクチバトール、Herbst装置、Twin-Block装置を使用しました。治療前後の頭部X線規格写真(セファロ)を重ね合わせて分析を行いました。

📏 何を測った?

主にSNA、SNB、ANBなどの骨格的な変化量と、上下顎切歯の傾斜角度(U1-SN, L1-MP)などの歯の移動量を測定しました。

📊 主な結果

  • すべてのグループでSNB角の増加とANB角の減少が見られ、下顎の成長促進によるII級関係の改善が認められました。
  • 骨格的な改善効果(下顎の長さの増加など)については、マウスピース矯正(MA)と従来の3つの装置の間で統計的な有意差はありませんでした。
  • 下顎前歯の傾斜(L1-MP)について、MA群はTwin-Block群やHerbst群と比較して、前歯が外側に倒れる(唇側傾斜する)副作用が有意に少なかったです。
  • 上顎前歯の舌側傾斜(内側への移動)は、Vanbeek群で最も大きく見られました。

💡 臨床で使えるポイント

インビザラインのMA機能は、従来の機能的矯正装置と同等の下顎成長促進効果が期待できます。特に、下顎前歯をあまり外側に倒したくない(唇側傾斜させたくない)症例においては、Twin-Blockなどよりも有利な選択肢となります。患者さんの協力が得られるのであれば、審美性を保ちながら効果的なII級治療が可能です。