
Effect of orthodontic extraction of mandibular premolars on third molar angulation after treatment with fixed appliances : A cross-sectional study.
本研究は、下顎小臼歯の抜歯を伴う矯正治療が、埋伏のリスクが高い下顎第三大臼歯の傾斜角に与える影響を明らかにすることを目的として実施された。非抜歯群、第一小臼歯抜歯群、第二小臼歯抜歯群の計120名を対象に、動的治療終了時のパノラマエックス線写真を用いて第三大臼歯の近遠心的傾斜角と発育段階を評価した。その結果、抜歯の有無や抜歯部位による第三大臼歯の傾斜角に有意差は認められなかった(P > 0.05)。一方で、抜歯群では右側第三大臼歯の根完成がわずかに促進される傾向が示された(P = 0.04)。結論として、小臼歯抜歯は第三大臼歯の根発育をわずかに早める可能性があるが、その傾斜角を改善する効果は限定的である。
この研究は、矯正治療での抜歯が親知らず(下顎第三大臼歯)の向きにどう影響するかを調べた「横断的研究」です。合計120名の患者さんを対象とし、非抜歯で治療した40名、下の第一小臼歯を抜いた40名、下の第二小臼歯を抜いた40名の3つのグループを比較しました。対象者は装置を外した時点での年齢が中央値15.2歳の若年層で、平均2.9年間の治療を受けています。小臼歯を抜くことで、奥にある親知らずが真っ直ぐ生えやすくなるのかを検証しました。
マルチブラケット装置などの固定式装置を用いて矯正治療を行い、治療終了時に撮影したパノラマエックス線写真を使って分析しました。
下顎の親知らずが隣の歯に対してどのくらい傾いているか(近遠心的傾斜角)と、根っこがどの程度まで作られているか(発育段階)を測定しました。
「小臼歯を抜歯すれば親知らずが真っ直ぐ生えてくる」と期待して抜歯方針を決めるのは、現時点では根拠が不十分と言えます。抜歯によって親知らずの根の発育がわずかに早まる可能性はありますが、萌出方向(傾き)を劇的に改善する効果は少ないため、親知らずの管理については抜歯の有無に関わらず個別に経過観察を行う必要があります。