中等度から重度の不正咬合を有する思春期患者におけるマウスピース型矯正装置と固定式矯正装置の治療結果の評価

中等度から重度の不正咬合を有する思春期患者におけるマウスピース型矯正装置と固定式矯正装置の治療結果の評価

Outcome assessment of orthodontic clear aligner vs fixed appliance treatment in adolescents with moderate to severe malocclusions.

著者Byron Chou, Jeffrey C Nickel, Dongseok Choi, Judah S Garfinkle, Howard M Freedman, Laura R Iwasaki
掲載誌The Angle orthodontist
掲載日2023年11月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正治療期間比較研究小児矯正デジタル矯正

要旨

本研究は、中等度から重度の骨格性I級およびII級不正咬合を有する思春期患者において、マウスピース型矯正装置(CAT)と固定式矯正装置(FAT)の治療効率と有効性を比較することを目的として実施された。2014年から2019年の間に1名の矯正歯科医が治療した12〜18歳の患者72名(CAT群47名、FAT群25名)を対象に、治療前後の記録を用いて後方視的に分析した。主要評価項目として、不正咬合の難易度を示すDI(Discrepancy Index)と治療結果の質を示すCRE(Cast Radiograph Evaluation)スコア、治療期間、通院回数を比較した。結果、治療の質に有意差は認められなかったが、CAT群はFAT群と比較して治療期間が平均3ヶ月短く、通院回数が平均8回少なかった。本研究により、特定の症例においてCATはFATと同等の治療結果をより短期間かつ少ない通院回数で達成できる可能性が示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

1名の矯正専門医が治療した12歳から18歳の思春期患者72名を対象とした、過去の記録を振り返って分析する後方視的研究です。中等度から重度の不正咬合(骨格性I級およびII級)を持つ患者さんを、マウスピース型矯正装置(CAT)を使用した47名と、ワイヤーによる固定式矯正装置(FAT)を使用した25名に分けて比較しました。2014年から2019年の間の症例を対象とし、治療の質と効率性の違いを検証しています。

🦷 使った装置・方法

マウスピース型矯正装置(インビザライン等)と、一般的なワイヤーとブラケットを用いた固定式矯正装置を使用しました。どちらのグループも、顎間ゴムの使用状況や装置の装着時間の遵守状況を含めて評価されています。

📏 何を測った?

治療前の難易度(DIスコア)と治療後の仕上がりの質(CREスコア)を専用のソフトを用いて測定しました。また、治療にかかった総月数、予定された通院回数、および急患対応の回数も記録し、比較を行いました。

📊 主な結果

  • 治療後の仕上がりの質を示すCREスコアは、マウスピース群が35±10点、固定式装置群が34±9点であり、両グループ間に統計的な有意差は認められませんでした(p=0.90)。
  • 治療期間については、マウスピース群が平均24±6ヶ月であったのに対し、固定式装置群は平均27±5ヶ月であり、マウスピース群の方が約3ヶ月有意に短縮されました(p=0.01)。
  • 通院回数は、マウスピース群が平均16±5回、固定式装置群が平均24±4回であり、マウスピース群の方が平均8回有意に少なくなりました(p<0.01)。
  • 急患による来院回数は、マウスピース群が2±2回、固定式装置群が3±2回であり、統計的な有意差は見られませんでした(p=0.08)。

💡 臨床で使えるポイント

中等度から重度の不正咬合であっても、適切な診断と計画があれば、マウスピース型矯正装置はワイヤー矯正と同等の仕上がりを維持しつつ、治療期間の短縮と通院負担の軽減が期待できます。特に通院回数を減らしたい思春期の患者さんや保護者に対して、マウスピース矯正の効率性の高さを具体的な数値(期間3ヶ月短縮、通院8回減少)で説明する際の根拠として活用できます。