
White spot lesions after fixed appliance treatment-Can we expect spontaneous long-term (≥15 years) improvement?
本研究は、マルチブラケット装置を用いた矯正治療後に発生したホワイトスポット(WSL:White Spot Lesions)が、15年以上の長期経過でどのように変化するか、およびう蝕経験との関連を調査することを目的として実施された。Herbst装置およびマルチブラケット装置で治療を受けた患者72名を対象に、治療終了直後(T1)から平均18.3年後(T3)までの口腔内写真と臨床データを後ろ向きに解析した。その結果、治療直後にWSLが認められた切歯のうち、48%で改善が認められ、28%では完全に消失した。一方で、WSLを認めた患者は、認めなかった患者と比較して治療後のMFT値(処置歯数)が有意に高いことが示された。本結果は、WSLの長期的改善の可能性を示すとともに、WSL発生患者に対する継続的なう蝕予防管理の重要性を示唆している。
固定式装置(マルチブラケット)を用いた矯正治療後にできてしまったホワイトスポット(WSL)が、15年以上という超長期的な経過の中でどのように変化するかを調べた後ろ向きコホート研究です。平均14歳で治療を開始し、約20ヶ月間の治療を受けた72名の患者さんを対象としています。治療終了から平均18.3年後のリコール時までを追跡しており、治療前・治療終了時・長期経過時の口腔内写真を用いて、前歯部のWSLの状態を詳しく比較・検証しました。
Herbst装置(下顎前方誘導装置)とマルチブラケット装置を併用して治療を行いました。評価には、治療前(T0)、治療終了時(T1)、数年後の経過時(T2)、15年以上の長期経過時(T3)の口腔内写真と、う蝕の指標であるMFT(未処置・処置歯数)データを使用しています。
5人の歯科医師が、Gorelickの指標を修正した評価法を用いてWSLの程度をスコア化しました。また、PancherzとMuehlichの指標を用いてWSLが「改善」「不変」「悪化」のどれに該当するかを評価し、同時にレントゲンや臨床診査からう蝕の発生状況(MFT値)を測定しました。
矯正治療後にできてしまったホワイトスポットは、15年以上の長いスパンで見れば約半数が改善し、4分の1以上は自然に消える可能性があります。そのため、治療直後に削って詰めるような侵襲的な処置を急ぐ必要はありません。ただし、WSLができてしまった患者さんは将来的に他の部位でも虫歯になりやすい「ハイリスク群」であるため、装置撤去後も長期的なメインテナンスとフッ化物利用などの予防指導を継続することが重要です。