第一小臼歯抜歯症例におけるインビザラインとマルチブラケット装置の治療結果比較

第一小臼歯抜歯症例におけるインビザラインとマルチブラケット装置の治療結果比較

Treatment outcome comparison of Invisalign vs fixed appliance treatment in first premolar extraction patients.

著者Ji-Hye Song, Ji-Hyun Lee, Bo-Hoon Joo, Yoon Jeong Choi, Chooryung J Chung, Kyung-Ho Kim
掲載誌American journal of orthodontics and dentofacial orthopedics : official publication of the American Association of Orthodontists, its constituent societies, and the American Board of Orthodontics
掲載日2024年4月
矯正歯科
マウスピース矯正ブラケット矯正歯の移動成人矯正比較研究

要旨

本研究は、上下顎第一小臼歯抜歯を伴う矯正治療において、インビザライン(INV)と従来の固定式装置(FA)による歯列変化を比較することを目的として実施された。両顎前突を有する成人患者80名を対象とし、INV群とFA群各40名の治療前後のデジタル模型を重ね合わせ分析した。結果、両群とも抜歯スペースは閉鎖されたが、INV群ではFA群と比較して、犬歯の遠心傾斜や大臼歯の近心傾斜が有意に大きく認められた。このことから、アライナー矯正による抜歯治療では、歯軸傾斜のコントロールに特段の配慮が必要であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

上下顎前突(口元が出ている状態)の改善のために、上下左右の第一小臼歯を計4本抜歯して矯正治療を行った成人患者80名を対象とした後ろ向き比較研究です。インビザラインを使用して治療した40名と、従来のワイヤー矯正(マルチブラケット装置)で治療した40名を比較しました。年齢や歯のガタガタの程度(叢生量)などの条件を揃えた上で、治療前後のデジタル模型を重ね合わせ、歯がどのように移動したかを詳細に検証しました。

🦷 使った装置・方法

インビザライン(アライナー矯正)と、従来のブラケットとワイヤーを用いた固定式装置を使用し、抜歯スペースの閉鎖を行いました。

📏 何を測った?

治療前後のデジタル模型を3次元的に重ね合わせ、特に犬歯、小臼歯、大臼歯の移動量や傾斜角度の変化、および歯列弓の幅径の変化を測定しました。

📊 主な結果

  • 両方のグループにおいて、抜歯したスペースは完全に閉鎖され、臨床的に許容範囲内の歯列が獲得されました。
  • インビザライン群では、上顎犬歯が固定式装置群に比べて有意に遠心(奥側)へ傾斜して移動していました(p < 0.05)。
  • インビザライン群の下顎第一大臼歯は、固定式装置群よりも有意に近心(手前側)へ傾斜していました(p < 0.01)。
  • 全体として、インビザライン群ではワイヤー矯正群と比較して、歯体移動(平行移動)よりも傾斜移動が起きやすい傾向が数値として示されました。

💡 臨床で使えるポイント

インビザラインで抜歯症例を行う場合、ワイヤー矯正に比べて歯が傾斜しやすい(倒れこみやすい)点に注意が必要です。クリンチェック作成時には、過度な傾斜を防ぐためのアタッチメント設定(最適アタッチメントや垂直長方形アタッチメントなど)や、ルートコントロール(歯根の制御)を意識したステージングを行うことが推奨されます。特に犬歯の遠心傾斜と大臼歯の近心傾斜(アンカロス)には警戒が必要です。