非対称なハーブスト装置を用いたII級1類非対称症例(Class II subdivision)の治療と安定性:症例報告

非対称なハーブスト装置を用いたII級1類非対称症例(Class II subdivision)の治療と安定性:症例報告

Class II subdivision treatment and stability with asymmetric Herbst appliance: A case report.

著者Diego Coelho Lorenzoni, Olívia Thomaz de Almeida Monteiro Barbosa, Adriana de Alcantara Cury-Saramago, Cláudia Trindade Mattos
掲載誌International orthodontics
掲載日2024年5月
矯正歯科
ブラケット矯正歯の移動顎矯正保定成人矯正審美

要旨

本研究は、非対称なII級関係(Class II subdivision)を呈する症例に対し、非対称に装着したハーブスト装置を用いた非抜歯治療の有効性と安定性を検証することを目的として実施された。症例報告として、1名の患者に対し、まずハーブスト装置を片側のみに作用するよう装着し、その後にマルチブラケット装置による仕上げを行った。主要な結果として、片側のII級臼歯関係、過大なオーバージェット、および上下顎歯列正中線の不一致が改善され、口唇の閉鎖不全や顔貌のプロファイルも向上した。治療終了から2年後の経過観察においても結果は安定しており、本手法は複雑な非対称症例に対する有効な選択肢であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、左右で咬み合わせが異なる「II級1類非対称症例(Class II subdivision)」の治療経過を報告した症例報告(ケースレポート)です。対象は、片側のみII級の臼歯関係と歯列正中線のズレ、そして口元の突出を認める患者さん1名です。通常、このような症例では複雑なメカニクスや非対称な抜歯が必要となりますが、本報告では非抜歯でのアプローチを検証しています。治療後の安定性を確認するため、動的治療終了から2年間の追跡調査が行われました。

🦷 使った装置・方法

ハーブスト装置(Herbst appliance)を左右非対称に作用するように装着して骨格的・歯性の改善を図り、その後にマルチブラケット装置を用いて細かな歯並びの調整を行いました。

📏 何を測った?

臼歯関係(奥歯の咬み合わせ)、オーバージェット(前歯の前後的な重なり)、上下顎の歯列正中線の位置、および顔貌の変化(横顔のプロファイルや口唇の形態)を評価しました。

📊 主な結果

  • 片側に見られたII級の臼歯関係が改善し、左右とも良好なI級関係が確立されました。
  • 大きかったオーバージェットが減少し、上下顎の歯列正中線の不一致も解消されました。
  • 口唇の突出感が改善し、バランスの取れた良好な顔貌プロファイルが得られました。
  • 治療終了から2年が経過した時点でも、得られた咬合関係や顔貌の改善は後戻りせず安定して維持されていました。

💡 臨床で使えるポイント

左右で咬み合わせが異なる非対称な症例に対して、ハーブスト装置を非対称に使用することは、抜歯を回避しつつ効率的に正中や臼歯関係を改善する有効な手段となります。特に、患者さんの協力度(コンプライアンス)に依存しにくい固定式装置であるため、確実な結果を期待できます。治療後の安定性も良好であることから、非対称症例の有力な選択肢として検討する価値があります。