異なるアタッチメント形態を用いたマウスピース矯正による歯の回転移動の精度

異なるアタッチメント形態を用いたマウスピース矯正による歯の回転移動の精度

Accuracy of clear aligners in the orthodontic rotational movement using different attachment configurations.

著者Gianluigi Fiorillo, Alessandra Campobasso, Silvia Croce, Umar Hussain, Giovanni Battista, Eleonora Lo Muzio, Gualtiero Mandelli, Alessandro Ambrosi, Giorgio Gastaldi
掲載誌Orthodontics & craniofacial research
掲載日2024年11月
矯正歯科
マウスピース矯正歯の移動比較研究デジタル矯正成人矯正

要旨

本研究は、マウスピース型矯正装置による歯の回転移動において、異なるアタッチメント形態が移動精度に及ぼす影響を評価することを目的として実施された。46名の患者の犬歯および小臼歯128本を対象とし、最適化アタッチメント、垂直長方形アタッチメント、アタッチメントなしの3群について、予測移動量と実際の移動量をデジタル重ね合わせにより比較検討した。その結果、アタッチメントを使用した群は使用しない群と比較して有意に高い精度を示したが、アタッチメントの形態間(最適化対垂直長方形)に統計的な有意差は認められなかった。臨床において回転移動を行う際、アタッチメントの付与は必須であるが、その形態の選択が精度に与える影響は限定的であることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

本研究は、マウスピース矯正(クリアアライナー)における歯の回転移動の精度を検証した後ろ向きコホート研究です。46名の患者における計128本の歯(犬歯および小臼歯)を対象とし、治療計画上のデータと実際の治療後のデータを比較しました。アタッチメントの種類(最適化アタッチメント、垂直長方形アタッチメント、なし)によって回転移動の実現率に差が出るかを調査しています。

🦷 使った装置・方法

マウスピース型矯正装置を使用し、対象となる歯を「最適化アタッチメント群」「垂直長方形アタッチメント群」「アタッチメントなし群」の3つのグループに分けて治療を行いました。治療前後のデジタルモデル(STLファイル)を重ね合わせ、回転量を分析しました。

📏 何を測った?

治療計画(クリンチェック等のシミュレーション)で設定された回転量に対し、実際に口腔内でどれだけ回転したかという「達成率(精度)」を算出しました。

📊 主な結果

  • 全体的な回転移動の平均達成率は約75.6%でした。
  • アタッチメントを使用したグループ(最適化および垂直長方形)は、アタッチメントなしのグループ(達成率約48%)と比較して、統計的に有意に高い精度を示しました。
  • 最適化アタッチメントと垂直長方形アタッチメントの間には、回転精度の有意な差は認められませんでした。
  • 歯種別の比較では、小臼歯よりも犬歯の方が回転移動の達成率が低い傾向にありました。

💡 臨床で使えるポイント

歯の回転移動を行う際は、アタッチメントの付与が必須です。本研究の結果からは、アタッチメントの形状(最適化か従来型か)による大きな差はないため、臨床的な使いやすさやボンディングのしやすさで選択しても良いでしょう。ただし、犬歯の回転は小臼歯に比べて難易度が高いため、オーバーコレクション(過修正)を組み込むなどの工夫が必要です。