成人前歯部開咬治療におけるクリアアライナー療法の有効性:システマティックレビューおよびメタ解析

成人前歯部開咬治療におけるクリアアライナー療法の有効性:システマティックレビューおよびメタ解析

Efficacy of Clear Aligner Therapy for the Treatment of Anterior Open Bite in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis.

著者Erika Correa, Dimitrios Michelogiannakis, Abdul Basir Barmak, Paul Emile Rossouw, Fawad Javed
掲載誌Orthodontics & craniofacial research
掲載日2025年3月
矯正歯科
マウスピース矯正成人矯正システマティックレビュー歯の移動

要旨

本研究は、成人前歯部開咬(AOB)に対するクリアアライナー療法(CAT)の有効性を評価することを目的として実施されたシステマティックレビューおよびメタ解析である。2024年8月までの文献を検索し、14件の研究を定性的評価、12件をメタ解析の対象とした。解析の結果、CATによるAOBの改善量は平均2.76mmであり、統計的に有意な改善が認められた。この改善は主に上下顎切歯の挺出によるものであり、臼歯の圧下や下顎下縁平面角の変化は有意ではなかった。以上より、CATは成人AOBの治療に有効であるが、その機序は主に切歯の挺出に依存していることが示唆された。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

成人の前歯部開咬(AOB)に対する治療効果を検証したシステマティックレビューおよびメタ解析です。2024年8月までに発表された論文から、最終的に14件の研究を定性的評価の対象とし、そのうち12件を用いてメタ解析を行いました。クリアアライナー(マウスピース型矯正装置)を用いた治療が、成人の開咬をどの程度改善するか、またその移動メカニズム(歯の挺出や圧下など)はどのようなものかを調査しています。

🦷 使った装置・方法

インビザラインなどのクリアアライナー(マウスピース型矯正装置)を用いて、前歯部開咬の治療を行った症例を分析しています。

📏 何を測った?

治療前後における開咬量の変化(オーバーバイトの改善量)を主要評価項目とし、セファロ分析による切歯の挺出量、臼歯の圧下量、下顎下縁平面角(MPA)の変化などを測定・比較しました。

📊 主な結果

  • クリアアライナー治療により、前歯部開咬は平均で2.76mm(95%信頼区間: 2.23-3.28)改善し、統計的に有意な結果が得られました。
  • この改善の主な要因として、上顎切歯の挺出が0.85mm(95%信頼区間: 0.43-1.26)、下顎切歯の挺出が0.86mm(95%信頼区間: 0.29-1.44)認められました。
  • 一方で、上顎および下顎臼歯の圧下については、統計的に有意な変化は確認されませんでした。
  • 下顎下縁平面角(MPA)についても、治療前後で有意な変化は見られませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

マウスピース矯正は成人の開咬改善に有効であり、約2.7mmの改善が見込めます。ただし、その改善メカニズムは「臼歯の圧下による下顎の反時計回り回転」よりも「前歯の挺出」に依存している傾向が強いことが示されました。臨床においては、アライナー単独での臼歯圧下による骨格的な改善を過度に期待せず、前歯の挺出による被蓋改善が主となることを考慮した治療計画や、必要に応じた補助装置の併用を検討する必要があります。