0.018インチスロットと0.022インチスロットのブラケットを用いた固定式装置による矯正治療期間の比較:システマティックレビューおよびメタ解析

0.018インチスロットと0.022インチスロットのブラケットを用いた固定式装置による矯正治療期間の比較:システマティックレビューおよびメタ解析

Duration of fixed appliance treatment using 0.018-inch slot versus 0.022-inch slot brackets: a systematic review and meta-analysis.

著者Mumen Z Rizk, Hisham Mohammed, John Samy, Grant McIntyre, David Bearn
掲載誌European journal of orthodontics
掲載日2025年10月
矯正歯科
ブラケット矯正治療期間比較研究システマティックレビュー成人矯正小児矯正

要旨

本研究は、固定式矯正装置における0.018インチスロットと0.022インチスロットのブラケットが治療期間に与える影響を比較することを目的として実施された。2025年5月までの主要データベースから、ランダム化比較試験(RCT)および前向き非ランダム化研究を抽出し、メタ解析を行った。計9件の研究(被験者832名)を分析した結果、両スロットサイズ間で治療期間に有意な差は認められなかった(標準化平均差: -0.23; 95% CI: -0.68 to 0.23)。また、治療の質や副作用、患者の満足度においても顕著な差は確認されなかった。本結果から、ブラケットのスロットサイズ選択は治療効率や結果に大きな影響を及ぼさないことが示唆される。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、矯正治療で一般的に使われる2種類のブラケットの溝(スロット)の大きさが、治療期間にどう影響するかを調べたシステマティックレビュー(過去の質の高い研究をまとめたもの)です。合計9つの研究(ランダム化比較試験6件、前向き研究3件)から、832名の患者さんのデータを集めて分析しました。対象となったのは、固定式の矯正装置を使用して治療を受けた患者さんたちです。2025年5月までの最新のデータを網羅し、治療期間だけでなく、治療の質や副作用についても比較・検証しています。

🦷 使った装置・方法

0.018インチスロットのブラケットと、0.022インチスロットのブラケットを使用し、それぞれの治療経過を比較しました。

📏 何を測った?

メインの評価項目として「治療開始から終了までの全期間」を測定しました。また、サブ項目として治療後の仕上がりの質、歯根吸収などの副作用、患者さんの満足度についても調査しました。

📊 主な結果

  • 治療期間の合計において、0.018インチと0.022インチのスロットサイズ間で統計的な有意差は認められませんでした(標準化平均差:-0.23、95%信頼区間:-0.68〜0.23)。
  • 治療結果の質(歯並びの完成度)についても、両グループ間で明らかな違いは見つかりませんでした。
  • 歯根吸収などの治療に伴う副作用の発生率に関しても、スロットサイズによる差はありませんでした。
  • 痛みや違和感といった患者さん側の評価項目においても、どちらのスロットが優れているという証拠は得られませんでした。

💡 臨床で使えるポイント

ブラケットのスロットサイズ(0.018か0.022か)は、治療期間や最終的な仕上がりに大きな影響を与えないことが示されました。そのため、スロットの選択は治療効率よりも、術者自身の使いやすさや慣れ、あるいは症例に応じたメカニクスの好みに基づいて決定して問題ありません。治療期間を短縮したい場合は、スロットサイズ以外の要因(レベリングの効率や患者さんの協力度など)に注目する方が現実的と言えます。