骨格性II級不正咬合治療におけるマウスピース型矯正装置による下顎前方誘導と機能的矯正装置の比較:システマティックレビューおよびメタアナリシス

骨格性II級不正咬合治療におけるマウスピース型矯正装置による下顎前方誘導と機能的矯正装置の比較:システマティックレビューおよびメタアナリシス

Mandibular advancement with clear aligners and functional appliances in the treatment of skeletal ClassⅡmalocclusion: a systematic review and meta-analysis.

著者Lei Yu, Ziwei Li, Fujia Kang, Songqing Wang, Zunxuan Xie, Xianchun Zhu
掲載誌Hua xi kou qiang yi xue za zhi = Huaxi kouqiang yixue zazhi = West China journal of stomatology
掲載日2023年6月
矯正歯科
マウスピース矯正顎矯正小児矯正歯の移動比較研究システマティックレビュー

要旨

本研究は、骨格性II級不正咬合に対するマウスピース型矯正装置による下顎前方誘導(MA)の有効性を、従来の機能的矯正装置(TFA)と比較検討することを目的として実施された。関連するデータベースから抽出した研究を対象にメタアナリシスを行った。その結果、MAとTFAの間でSNA、SNB、ANBなどの骨格的変化に有意差は認められなかったが、下顎切歯の唇側傾斜(IMPA)に関してはMA群の方が有意に小さかった。臨床的に、MAは従来の装置と同等の骨格的改善効果を持ちつつ、下顎前歯の望ましくない傾斜を抑制できる有効な治療法である。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

過去の複数の研究結果を統合して解析する、エビデンスレベルの高いシステマティックレビューおよびメタアナリシスです。骨格性II級不正咬合(出っ歯や下顎の後退)を有する成長期の患者さんを対象とした論文を調査しました。具体的には、インビザラインのマンディブラ・アドバンスメント(MA)のような「下顎前方誘導機能付きマウスピース矯正装置」を使用したグループと、ツインブロックなどの「従来の機能的矯正装置」を使用したグループで、治療効果や副作用に違いがあるかを比較検証しています。

🦷 使った装置・方法

下顎を前方に誘導する機能(ウイング等)が付加されたマウスピース型矯正装置と、従来から使用されている機能的矯正装置(ツインブロック、ハーブスト、フォーサス等)を比較しました。

📏 何を測った?

治療前後のセファロ分析を用いて、上顎・下顎の骨格的な位置の変化(SNA, SNB, ANB)や、下顎の長さ、そして前歯の角度(特に下顎切歯の傾斜 IMPA)の変化量を測定しました。

📊 主な結果

  • 骨格的な改善効果(SNA、SNB、ANBの変化量)については、マウスピース型装置と従来の装置の間で統計的な有意差はありませんでした。
  • 下顎の長さ(Co-Gn)や下顎枝の高さ(Co-Go)の増加量についても、両グループ間で差は見られませんでした。
  • しかし、下顎前歯の角度(IMPA)については、マウスピース型装置の方が従来の装置よりも唇側傾斜(前歯が外に倒れる動き)が有意に少なかったことが示されました。

💡 臨床で使えるポイント

マウスピース型矯正装置による下顎前方誘導は、従来の機能的矯正装置と同等の骨格的な改善効果が期待できます。さらに、従来法で起こりやすい「下顎前歯が前に倒れてしまう副作用」をマウスピースがカバーすることで抑制できる点が大きなメリットです。審美性を重視しつつ、前歯の角度をコントロールしたい成長期のII級症例において、第一選択となり得る治療法です。