矯正治療後の固定式保定装置におけるCAD/CAM製と従来型の比較:システマティックレビューおよびネットワークメタ解析

矯正治療後の固定式保定装置におけるCAD/CAM製と従来型の比較:システマティックレビューおよびネットワークメタ解析

A comparison of CAD/CAM-based fixed retainers versus conventional fixed retainers in orthodontic patients: a systematic review and network meta-analysis.

著者Erfan Bardideh, Mahsa Ghorbani, Hooman Shafaee, Pooya Saeedi, Farnaz Younessian
掲載誌European journal of orthodontics
掲載日2023年9月
矯正歯科
保定デジタル矯正比較研究システマティックレビュー成人矯正

要旨

本研究は、矯正歯科治療後の患者におけるCAD/CAM(コンピュータ支援設計・製造)技術を用いた固定式保定装置と、従来の固定式保定装置の有効性を比較することを目的として実施された。2023年5月までに発表されたランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。7件のRCT(計601名)を分析した結果、短期的(6ヶ月以内)には歯列の安定性において両群間に臨床的に有意な差は認められなかったが、CAD/CAM製装置は従来型と比較してプラーク付着が有意に少なかった。脱離率については明確な差は示されなかった。本結果より、CAD/CAM製保定装置は歯周組織の健康維持に寄与する可能性があるが、長期的な耐久性についてはさらなる検証が必要である。

論文まとめ

🔬 どんな研究?

この研究は、矯正治療後の「固定式リテーナー(保定装置)」について、デジタル技術(CAD/CAM)で作ったものと従来の手作業で作ったものを比較した、信頼性の高いシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析です。合計7つのランダム化比較試験(RCT)から、601名の患者さんのデータを統合して分析しました。主に下顎の保定装置を対象とし、装置装着から最大6ヶ月間までの短期的な経過を調査しています。デジタル技術を用いた新しい保定装置が、従来のワイヤー固定と比較して、歯並びの維持や歯ぐきの健康にどう影響するかを検証しました。

🦷 使った装置・方法

CAD/CAM技術を用いてニッケルチタン(Ni-Ti)などで精密に製作された固定式リテーナーと、従来のステンレススチール製のワイヤー(単線または撚り線)を使用したリテーナーを比較しました。

📏 何を測った?

歯並びの後戻りの指標となるLittleの不規則指数、犬歯間幅径、歯列弓の長さによる「安定性」と、プラーク指数や歯肉指数による「歯周組織の状態」、および装置の「脱離率」を測定しました。

📊 主な結果

  • 6ヶ月までの短期間において、犬歯の間隔や歯列の長さの変化には、CAD/CAM製と従来型で統計的な有意差は認められませんでした。
  • 歯並びのわずかなズレ(Littleの不規則指数)については、3ヶ月および6ヶ月時点でCAD/CAM製の方がステンレス製よりも良好な数値を示しましたが、その差は臨床的に問題になるほどではありませんでした。
  • CAD/CAM製リテーナーは、従来型のリテーナーと比較してプラーク指数が有意に低く、汚れがつきにくいことが示されました。
  • 装置が外れる割合(脱離率)については、全体として両者の間に有意な差はありませんでしたが、1つの研究ではCAD/CAM製の脱離が多発し、研究が途中で中止されていました。

💡 臨床で使えるポイント

CAD/CAM製のリテーナーは、適合の良さからプラークが溜まりにくく、歯周衛生の維持において従来型より有利である可能性があります。短期間の安定性は従来型と同等ですが、長期的な耐久性や脱離リスクについてはまだ不明確な部分があるため、症例ごとに慎重に選択すべきです。特に清掃性を重視したい患者さんには、新しい選択肢として提案を検討する価値があるでしょう。