更新日: 2025/06/12
交叉咬合(クロスバイト)は、上下の歯のかみ合わせがズレてしまう不正咬合の一種です。見た目だけでなく、あごの機能や健康にも悪影響を及ぼすため、放置するのは望ましくありません。とくに軽度の場合でも、将来的に顎関節症や頭痛などのリスクが高まることがあるため、早期の対応が重要です。
本記事では、交叉咬合の原因やセルフチェックの方法、治療法として注目されるマウスピース矯正の特徴や症例について、わかりやすく解説します。
※この記事にはPR情報が含まれます。
※記事記載の施術の効果効能などには個人差があり保証するものではありません。
※最新情報は各医院公式サイトにてご確認ください。
記事の編集・責任者歯科医師齋藤博愛先生
医療法人 誓栄会 千賀デンタルクリニック 副理事長。東京歯科大学 卒業。慶應義塾大学病院歯科・口腔外科研修修了。
日本歯周病学会,日本口腔インプラント学会,日本口腔外科学会所属。
交叉咬合(クロスバイト)とは、上下の歯が正常にかみ合わず、部分的または全体的に上下逆にかみ合っている状態を指します。
通常は上の歯が下の歯より外側に位置しますが、交叉咬合ではこれが反対になり、噛んだときに下の歯が上の歯より外側に出てしまいます。特に奥歯や前歯で発生することが多く、あごの左右非対称や咀嚼(そしゃく)機能の不調を引き起こす原因になるため、早期発見と治療が重要です。
自分が交叉咬合かどうかを確認するには、鏡を見ながら上下の歯のかみ合わせを観察します。
通常は上の歯列が下の歯列よりも外側にありますが、噛み合わせたときに特定の歯、特に奥歯や前歯で、下の歯が外に出ていたり内側に引っ込んでいたりする場合は、交叉咬合の可能性があります。
また、あごが横にずれているように見えたり、食べ物を左右均等に噛めないと感じるときも、注意が必要です。気になる方は早めに歯科医師の診察を受けましょう。
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交叉咬合(クロスバイト)は、日常の癖や骨格の特徴など、複数の要因が複雑に関係して起こります。ここでは、大きく「遺伝的な影響」と「後天的な生活習慣」の2つの観点から、その原因について詳しく見ていきます。
交叉咬合の原因のひとつに、あごの骨格や歯列の形が遺伝することがあります。実際、両親や祖父母などの家族に不正咬合がある場合、子どもにも似た傾向が現れるケースが少なくありません。
例えば、上あごが小さく下あごが大きいなど、骨の成長バランスに偏りがあると、上下の歯がうまくかみ合わず、交叉咬合が生じやすくなります。
このような遺伝的背景は、生まれ持った体質の一部であり、自分の力では避けられません。そのため、早い段階で歯科医の診察を受け、骨格の成長に合わせた予防や矯正を検討することが大切です。
交叉咬合は、生まれつきの骨格以外にも、日常生活の中で無意識に繰り返す癖によって悪化することがあります。
特に、睡眠中の歯ぎしりや舌で歯を押す癖(舌癖)、さらには頬杖や片側だけで咀嚼する習慣などが知られています。これらの行動は、あごや歯列に片寄った圧力を与えるため、徐々にかみ合わせのバランスを崩してしまう要因となるのです。
また、加齢による歯のすり減りや顎関節の変形も、かみ合わせの変化につながる場合があります。特に歯の喪失を放置していると、残っている歯が移動し、かみ合わせが乱れるリスクが高まります。
このように、後天的な要因は自覚が難しいこともありますが、習慣を見直すことによって進行を防げる可能性もあるでしょう。心当たりがある方は、歯科医院でかみ合わせのチェックを受けることが重要です。
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交叉咬合(クロスバイト)を放置すると、見た目の問題にとどまらず、顎関節や消化器官、さらには精神面にも悪影響を及ぼす可能性があります。以下で具体的なリスクを詳しく解説します。
交叉咬合をそのままにしておくと、顎関節症の発症リスクが高まります。なぜなら、上下の歯が正しくかみ合わない状態では、食事や会話の際にあごの関節に不自然な力がかかるからです。
このような負担が蓄積されると、関節周辺の筋肉や靭帯に慢性的な緊張が生じ、やがて関節の痛みや開口障害、あごの音など、典型的な顎関節症の症状が現れることがあります。
特に、下あごを左右どちらかにずらして噛む癖がある方は、片側の関節に過度な圧力がかかりやすく、発症リスクがさらに高まると考えられます。咀嚼や発音に支障をきたすだけでなく、日常生活の質を損なう要因にもなり得るため、早めの対処が重要です。
かみ合わせのズレは、首や肩の筋肉バランスにも悪影響を与えるため、頭痛や肩こりの原因になることがあります。交叉咬合の方は、上下の歯が正しく接触しないことで咀嚼時に余分な力が必要になり、顔面や首回りの筋肉に過度な緊張が加わります。
この緊張が長く続くと、筋肉疲労から血行不良が生じ、それが肩こりや緊張性頭痛につながるのです。また、あごの筋肉と首・肩の筋肉は連動しているため、噛む動作の不自然さが広範囲に影響を及ぼすこともあります。
交叉咬合によって咀嚼効率が低下すると、食べ物を十分に噛まずに飲み込んでしまいがちになります。すると、消化の第一段階である咀嚼が不十分なまま胃や腸へ送られるため、消化器官への負担が増加し、消化不良を引き起こすリスクが高くなります。
とくに、硬い食べ物を避けるようになったり、片側だけで噛む習慣がついた場合、胃の働きにも偏りが生まれやすく、結果として便秘や胃もたれといった不調が表れることもあるでしょう。口腔内の問題が体内の消化機能全体に波及するため、注意が必要です。
歯並びや噛み合わせの悪さは、見た目に対するコンプレックスや、人前で話すときの自信喪失につながることがあります。交叉咬合によって笑顔を見せることにためらいが生まれたり、発音が不明瞭になることで、日常的なストレスを感じる方も少なくありません。
また、慢性的なあごの痛みや筋肉の緊張も精神的な負荷となり、ストレスを増幅させる一因になります。見た目だけの問題と捉えず、心身の健康を守るためにも早期の対応が大切です。
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交叉咬合(クロスバイト)の治療には、症状の程度や年齢に応じた複数の方法があります。ここでは、代表的な治療法である「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」、さらに子どもの場合に行われる治療法について詳しく解説します。
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーを使って力を加えることで歯並びやかみ合わせを整える矯正法です。
交叉咬合のような上下の歯のズレを細かく調整することができ、適応範囲が広いため、多くのケースに対応できます。歯の移動力が高く、複雑な症状にも有効なのが特長です。
デメリットとしては、装置が目立つことや、食事・歯みがきのしづらさなどが挙げられますが、精密な矯正を希望する方には適した方法です。
マウスピース矯正は、透明なアライナーを使用し、取り外し可能な矯正装置で歯並びを整える治療法です。見た目が自然で、装着中も周囲に気づかれにくいことから、成人に人気があります。
痛みが少なく、金属アレルギーの心配もありません。ただし、歯の移動量が多い場合や、骨格のズレを伴う重度の交叉咬合には対応が難しいケースがあります。そのような場合はワイヤー矯正が推奨されます。
マウスピース矯正について詳しく知りたい方は、ぜひスマイルモア矯正の詳細をご覧ください。
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子供の交叉咬合は、あごの成長を活用して改善できるため、早期の治療が効果的です。6~12歳頃の成長期であれば、上あごの幅を広げる「拡大装置」や、筋肉の使い方を整える機能的矯正装置が使われます。
また、舌の癖や口呼吸といった悪習癖を修正することで、歯列やあごの発育を正常に導くことが可能です。これにより、大人になってからの大がかりな矯正や外科的処置を回避できる場合もあります。気になる場合は小児歯科での早期相談が鍵です。
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画像:マウスピース矯正で交叉咬合を治療した症例を紹介
ここでは、実際にマウスピース矯正で交叉咬合を治療した症例をご紹介します。治療の進行過程やビフォーアフターの写真を通して、マウスピース矯正の効果を具体的にご覧ください。治療を検討している方の参考になれば幸いです。
【症例画像①】
詳細情報 | |
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費用 | 360,000円(税込396,000円) |
治療期間 | 1年 |
治療内容 | マウスピースを用いた歯列矯正 |
追加処置 | IPR |
※保険適用外の自由診療となります。
※効果や感じ方には個人差があります。
※マウスピース橋正の主なリスク:虫歯・歯周病・ブラックトライアングル・歯根吸収・歯肉退縮・1日20時間以上のマウスピース装着が必須・マウスピースにより痛みを感じる可能性・治療中に一時的にかみ合わせに不具合をきたす可能性・リテーナーを最低1年間は1日20時間以上装着、その後徐々に着用時間を減らし、2年目以降は夜間のみの着用推奨。
【症例画像②】
詳細情報 | |
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費用 | 360,000円(税込396,000円) |
治療期間 | 1年1ヶ月 |
治療内容 | マウスピースを用いた歯列矯正 |
追加処置 | IPR |
※保険適用外の自由診療となります。
※効果や感じ方には個人差があります。
※マウスピース橋正の主なリスク:虫歯・歯周病・ブラックトライアングル・歯根吸収・歯肉退縮・1日20時間以上のマウスピース装着が必須・マウスピースにより痛みを感じる可能性・治療中に一時的にかみ合わせに不具合をきたす可能性・リテーナーを最低1年間は1日20時間以上装着、その後徐々に着用時間を減らし、2年目以降は夜間のみの着用推奨。
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交叉咬合の治療費は、選択する矯正方法や治療の難易度によって大きく異なります。以下に、主な治療法別のおおよその費用目安をまとめましたので、ご自身の計画に役立ててください。
マウスピース矯正(インビザライン)/ 全体矯正(抜歯あり) | 75~102万 |
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ワイヤー矯正(ハーフリンガル矯正)/ 全体矯正(抜歯あり) | 60~137.5万 |
ワイヤー矯正(唇側矯正)/ 全体矯正(抜歯あり) | 50~126.5万 |
上記はあくまで目安であり、使用する装置や通院回数、地域によって前後します。無料相談を実施している歯科医院も多いため、まずは見積もりをとることをおすすめします。
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交叉咬合の治療期間は、症状の重さや矯正方法によって異なります。一般的には、軽度であれば1年前後、重度であれば2年以上かかることもあります。
治療期間の目安
症例の程度 | 治療期間(目安) |
---|---|
軽度の交叉咬合 | 約6~12ヶ月 |
中等度症例 | 約1~2年 |
重度の交叉咬合 | 約2~3年 |
また、治療後には保定期間として6ヶ月~1年以上マウスピース型の保定装置を使用する必要があります。この期間に再度ズレが起きないよう、丁寧な経過観察が求められます。
無理に短期間で仕上げようとすると、後戻りのリスクが高まるため、歯科医師の指導に沿って治療を継続することが成功の鍵です。
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交叉咬合の治療は、すべてが自由診療になるわけではありません。症状の重さや治療の目的によっては、健康保険が適用されることもあります。ここでは、保険が適用されるケースとされないケースの違いについて、詳しくご説明します。
交叉咬合の治療でも、一定の条件を満たせば健康保険が適用されることがあります。代表的なのは、厚生労働省が定めた「先天異常」がある場合や、「顎変形症」に該当し、外科手術をともなう矯正が必要と診断されたケースです。
これらは機能回復が目的となるため、医療保険の対象となります。ただし、保険適用には「顎口腔機能診断施設」として認定された医療機関で治療を受ける必要があります。一般の歯科では適用外になることもあるため注意が必要です。
交叉咬合の治療であっても、見た目の改善や軽度な症状の矯正は原則として保険適用外です。咀嚼や発音など機能的な問題が明確でない場合、美容目的と判断され、自由診療扱いになります。
また、手術が不要な矯正単独のケースや、保険適用外の歯科医院で治療を行う場合も保険は使えません。保険診療を希望する場合は、厚生労働省が指定する施設で、かつ診断基準を満たすことが必要です。治療前に医師へしっかり確認しましょう。
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交叉咬合(クロスバイト)は、見た目だけでなく健康にも大きな影響を与える噛み合わせの異常です。原因は遺伝や癖、成長環境などさまざまで、放置すると顎関節症や肩こり、消化不良といった症状につながることがあります。
そのため、早期発見と適切な治療が重要です。現在はワイヤー矯正やマウスピース矯正といった治療法が選択でき、状態に応じて保険が適用されるケースもあります。症状が軽度でも一度専門の歯科で相談することをおすすめします。
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交叉咬合の治療には、主にワイヤー矯正とマウスピース矯正が用いられます。歯列の重なり具合や骨格の状態によって治療法は異なります。
軽度のケースではマウスピース矯正が選ばれることが多く、重度で骨格的なズレがある場合は外科的手術をともなう矯正治療が必要になるでしょう。専門医の診断を受けて、症状に最適な治療法を選ぶことが大切です。
交叉咬合は、上下の歯が横方向にずれて交差して噛み合う状態を指します。一方、反対咬合は下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせの異常です。
どちらも噛み合わせに問題がありますが、方向と位置のずれ方が異なります。交叉咬合は横方向、反対咬合は前後の位置関係に問題があるのが特徴です。両者は見た目だけでなく、口腔機能にも大きな影響を及ぼすため、早期の治療が望まれます。