公開日: 2024/01/09
更新日: 2024/09/30
マウスピース矯正を検討しているけれど、実際に歯並びが改善されるのか?費用はどれぐらいかかる?痛みはどうなのだろう?と、気になっている人が多いのではないでしょうか。
本記事では、マウスピース矯正についてのさまざまな疑問についてまとめました。
基本的な知識やメリット・デメリット、治療の流れや治療にかかる費用や期間、ブランドの選び方についても詳しく紹介しています。
マウスピース矯正について気になっている人は、ぜひ最後まで読んで、歯並びを綺麗にするための知識を深めてみてください。
記事の編集・責任者歯科医師高橋涼太先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを使って歯を少しずつ動かす矯正方法です。
最大の特徴は、従来のワイヤー矯正とは異なり、矯正装置がほとんど見えないため目立ちにくいことです。
日常生活での違和感も少なく、周囲に気づかれにくいため、社会人・学生にも人気があります。
マウスピースは患者それぞれの歯並びに合わせて作られ、1~2週間ごとに新しいものに交換しながら治療を進めます。
治療にかかる期間は数か月〜2年、平均的な費用は、部分矯正だと平均36万円程度、全体矯正だと平均86万円程度です(スマイルモア矯正調べ)。
画像出典元:公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
マウスピース矯正では、マウスピースが歯にかける圧力を利用して歯を動かします。そのためマウスピースは、長時間の着用が欠かせません。
圧力をかけている状態を維持するため、最低1日20時間以上の装着が必須です。
ワイヤー矯正は、歯に固定されたブラケットとワイヤーを使用する取り外し不可能な矯正方法です。
少しずつワイヤーを調整することで、歯に力を加えていき歯並びを整えます。
ワイヤー矯正はマウスピース矯正に比べ、歯の根に強い力を加えることができるため、抜歯が必要な症例など歯の移動量が大きい歯並びに適しています。
場合によってはマウスピース矯正を行ったあとに、ワイヤー矯正で最終調整を行うハイブリッド矯正(コンビネーション矯正)が必要な症例もあります。
ここからは、マウスピース矯正のメリットについて紹介していきます。
マウスピース矯正をする最大のメリットとして、矯正装置が目立ちにくいことが挙げられます。
マウスピースは透明で、つけていても周りの人にほとんど気づかれません。
また装置が目立つワイヤー矯正と違って、矯正中でも自信を持って人前に出ることができるので、ビジネスの場や写真撮影など、外見が気になる場面でも安心です。
マウスピースは簡単に取り外せるため、食事のタイミングや種類などの制限が少なく、好きなものを自由に楽しめます。
ワイヤー矯正の場合は、食べ物が矯正装置に挟まったり、金属部分が舌に触れることで食事をしていても不快さを感じることがあります。
このような心配をせずに食事を楽しめるのは、大きな魅力でしょう。
マウスピースは取り外しができるので、日常の歯磨きや口腔内ケアがしやすいです。
ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤー周りの清掃が難しく、ケアをしていても虫歯になりやすかったりします。
一方でマウスピース矯正では、マウスピースを外せば歯ブラシやデンタルフロスを通常通り使用することができ、歯の健康を維持しやすいです。
またマウスピース自体のお手入れも、専用のクリーナーや水を使えば、比較的簡単に行うことができます。
マウスピース矯正は、治療の進行に合わせて定期的に新しいマウスピースに交換する必要がありますが、これは自宅でも簡単に行えます。そのため、頻繁にクリニックに行く必要がありません。
ワイヤー矯正であれば、ブラケットの調整やワイヤー交換のため1か月に1度の定期的な通院が必要ですが、マウスピース矯正の通院頻度は2~3ヶ月に1度なことが多いです。
通院が少ないことは、治療にかかる時間や再診料・交通費の節約に繋がり、忙しい日々を送る人にとっては大きなメリットになります。
マウスピースは歯を少しずつ動かすよう設計されており、歯に徐々に力をかけるため、急激な痛みを感じることが少ないです。
ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーによって歯に強い力が加わるため、調整直後に非常に強い痛みを感じやすいです。 痛みが比較的少ないのも、マウスピース矯正の大きなメリットといえます。
マウスピース矯正には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。 ここからは、マウスピース矯正のデメリットについて解説していきます。
マウスピース矯正では、効果的な治療のために1日に20時間以上の装着が必要です。
これは、食事や歯磨きの時間を除いて、ほとんどの時間をマウスピースをつけた状態で過ごすことになります。
マウスピースを十分な時間つけていないと、治療効果が得られず治療期間が延びることになるため、装着時間は厳守する必要があります。
人によっては、慣れるまで長時間マウスピースを装着することを大変に思うかもしれません。
「使用していないマウスピースを保管」したり、「マウスピースを清潔に保つため定期的に清掃」したりと、自分でマウスピースを管理する必要があります。
また日常生活のなかで、マウスピースを紛失したり壊したりする可能性もあります。マウスピースを紛失したり破損させてしまうと、治療が遅れたり追加の費用がかかったりすることもあるので、注意が必要です。
マウスピース矯正には、あまり向かない歯並びが存在します。
例えばあごの位置に大きなズレがある場合や抜歯が必要な症例では、マウスピース矯正だけでは十分な治療効果を得ることが難しいです。
ほかにも、歯を回転させたり微妙な位置調整が必要になったりする症例に対しても、マウスピース矯正では限界があります。
ワイヤー矯正との併用など、個々の歯並びに合った治療が必要になるので、歯科医師に相談するようにしましょう。
それでは、マウスピース矯正が適しているのはどのような症例なのでしょうか。 ここからはマウスピース矯正が向いている歯並びについて、紹介していきます。
歯が重なり合って生えている「叢生」の状態は、マウスピース矯正での治療が適しています。
マウスピース矯正では、歯にかかる圧力を均等に分散させられるので、ガタガタの歯でも均等に力を加えながら歯並びを整えることができるためです。
特に、奥歯のずれが少なく抜歯も必要ない場合にはマウスピース矯正で比較的簡単に矯正治療を行う事ができます。
マウスピース矯正は、歯並びが原因の「出っ歯」や「受け口」の改善にも適しています。
出っ歯とは前歯が前方に突出している状態のこと、受け口とは下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態のことです。
以前は、「出っ歯や受け口を治すのにマウスピース矯正を使うのは難しい」とされていましたが、技術の進歩に伴い、治療できる症例が増えています。
歯と歯のあいだに隙間がある「すきっ歯」の状態にも、マウスピース矯正は適しています。
特にすきっ歯の場合、マウスピースで1本1本の歯を確実に包み込んで移動させることができるので、マウスピース矯正は非常に有効な治療法です。
マウスピース矯正は、歯並びの中心がずれている場合にも効果的です。中心のずれとは、上と下の前歯の中心線が合っていない状態を指します。
マウスピース矯正では、マウスピースを作成するためにあらかじめ精密な歯型スキャンを行い、3Dの治療シミュレーションを立てます。
これにより、前歯の中心線のずれの量を正確に把握できます。
ただしズレが重度の場合は外科手術が必要となる場合もあるため、歯科医師と相談しましょう。
前歯が咬み合わない開咬の治療法は以下の2つです。
①前歯を内側に向ける
②奥歯を沈めこむ(圧下)
前歯の向きを内側に向ける傾斜移動や、奥歯を沈める移動(臼歯の圧下)は、どちらもワイヤー矯正よりもマウスピース矯正の方が得意な動きです。
したがって開咬の改善にマウスピース矯正は非常に適していると言えます。
ただし骨格的な原因によって起こる開咬については、マウスピース矯正のみでは治療が難しい場合があります。
ここからは、マウスピース矯正を行う場合の流れについて解説していきます。
マウスピース矯正では、最初に歯科医院でカウンセリングを行います。
カウンセリングでは、矯正に関する患者の希望や心配事、健康状態、生活習慣などをヒアリングします。これは矯正治療の計画を立てる上で、とても大切な情報になります。
矯正治療についての疑問や不安も、この時に相談しておくのがよいでしょう。
続いて口腔内検査では、歯の状態を詳しくチェックします。さらに、レントゲンを撮影し、虫歯や歯周病の状態や噛み合わせ、あごの関節などを確認します。
次に歯型を採ります。
この歯型は、マウスピースを作成するための基本となるデータなので、3Dデジタルスキャンを使用して、精密な歯型を取ります。
カウンセリングと検査で得た情報をもとに、患者さん1人1人に合った矯正治療計画を立てます。
歯科医師は検査結果から、どのように歯を動かすか、全体の治療期間はどれくらい必要か、そしてどれだけのマウスピースが必要になるかを決定します。
このとき3Dシミュレーションを使って、歯の動きや完成形まで確認することが可能です。
治療計画が決まると、詳しい治療の流れや必要な期間・費用についての詳しい説明が行われます。
もし気になることがあれば医師に相談しましょう。
場合によっては、治療計画を立て直してもらうことも可能です。
治療計画が決まったら、次はマウスピースの作成が行われます。
一般的に、マウスピースの製作期間は2~4週間程度です。ブランドによっては、海外の工場を経由するため到着に時間がかかります。
完成してマウスピースが届いたら、矯正治療をスタートします。
マウスピースを受け取ったら、自分で取り外しができるように歯科医院で練習します。マウスピースの着用時間は、1日20時間以上の着用が必要です。
そのため、日中はもちろん睡眠中も装着しなければいけません。
食事や歯磨きの際には取り外すことができますが、矯正成功のために、できる限り長い時間装着するようにしましょう。
1~2週間ごとに、自分で新しいマウスピースへ交換していくことで矯正治療をすすめていきます。 矯正治療の間、2~4か月に1回は歯科医院で経過観察を受けることが多いです。
矯正治療が完了したあとは、矯正された歯並びを維持するために、歯の保定を行います。
治療が完了しても、歯はもとの位置に戻ろうとするため、歯の保定が欠かせません。
保定のためには、リテーナーと呼ばれる装置を使用します。
保定期間は、最低1〜2年程度が目安です。この期間中、定期的に歯科医院を訪れて、リテーナーの調整や歯の状態のチェックを受けることが多いです。
続いてマウスピース矯正にかかる費用について、矯正の種類ごとに解説していきます。
部分矯正は、歯並びのうち一部分だけを矯正する方法です。特定の歯のみ矯正する場合や、軽い歯並びの乱れを矯正する場合に適しています。
マウスピース矯正における部分矯正の費用は、11~70万円で平均36万円です。
部分矯正は、患者が時間や費用を節約したい場合に選ばれることが多く、効率的に歯並びを改善したい人におすすめです。
全体矯正は、口腔内のすべての歯を対象とする矯正治療であり、歯並びの全体的な改善や噛み合わせの調整を行います。
マウスピース矯正における全体矯正の費用は、50~120万円で平均86万円です。
マウスピース矯正の費用は、マウスピースブランドによっても大きく異なります。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ここからは、マウスピース矯正にかかる期間について解説していきましょう。
部分矯正にかかる期間は、一般的には約2ヶ月〜1年程度で完了することが多いです。
すきっ歯のように歯の移動量が少ない場合は、数ヶ月程度という短期間で治療を終えることもあります。
しかし歯並びによっては部分矯正が適応できず、全体矯正を勧められる場合もあります。
全体矯正にかかる治療期間は、一般的に約1〜3年程度が目安とされています。
歯並びの乱れが大きいと、必要なスペースを確保するために抜歯を行うことがありますが、この抜歯治療も治療期間を長引かせる原因になります。
ここまでマウスピース矯正について詳しく解説してきましたが、ほかの矯正方法との違いについても触れておきましょう。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分にあった矯正方法を選ぶことが大切です。
ワイヤー(表側)矯正は、歯の表側にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かす矯正方法です。
ワイヤー矯正は、痛みが強く、装置が目立ちます。
またマウスピースは取り外しが可能なため飲食や歯磨きがしやすいですが、ワイヤー矯正は歯磨きが非常にしづらく、虫歯のリスクがあります。
一方でワイヤー矯正は、マウスピースのような自己管理が必要なく、幅広い症例に対応可能というメリットがあります。
ワイヤー(裏側)矯正は、歯の裏側に矯正装置を付けて歯を動かす矯正方法です。
見えにくい部分に矯正装置を取り付けるため、マウスピース矯正と同じく目立ちにくいことが特徴です。
ワイヤー(裏側)矯正は、矯正装置を取り外すことができないうえに、装置が歯の裏側にあることで、舌に触れて滑舌に影響を与えやすいといったデメリットがあります。
費用面においても、マウスピース矯正より高額になることが多いでしょう。
外科矯正は、一般的な歯科矯正だけでは対応できない症例に対して、外科手術と組み合わせて行われる治療方法です。
例えば骨格に原因がある不正咬合などの症状に有効で、外科手術で骨のズレを修正してから、歯並びを整える矯正治療を行っていきます。
骨格の根本的な問題を解決することができるといったメリットがある一方で、治療期間が長くなり、費用も高額になってしまうといったデメリットがあります。
また麻酔や骨切りのリスクについても、あらかじめ理解しておくことが必要です。
マウスピース矯正には多くのメリットがありますが、効果的に治療を行うためにも、注意しておくべきポイントがあります。
マウスピース矯正では、マウスピースの装着時間を守ることが非常に大切です。
マウスピースは1日に20時間以上着用することが推奨されており、睡眠中も着用しなければいけません。
マウスピースの装着時間が不十分だと、矯正の進行が遅れたり、期待される結果が得られなかったりします。そのため、決められた時間は必ず装着するように患者自身の自己管理が必要です。
食事や歯磨きの際にはマウスピースを外すことができますが、それ以外の時間は極力着用を心がけましょう。
食事をする際には、必ずマウスピースを外すようにして、食事をした後は口をすすぐか歯を磨いてからマウスピースを装着するようにしましょう。
食べ物や飲み物がマウスピースに付着すると、虫歯の原因となったり、マウスピース自体の劣化を早めたりする原因となります。
またマウスピースを装着している時に選ぶ飲み物は、水がおすすめです。
マウスピースを付けたままコーヒーやジュースなどを飲むと、マウスピースに甘味料や着色料が付着して、虫歯や変色などの原因になってしまいます。
マウスピースをつけていると唾液の自浄作用が弱まり、歯に汚れがたまりやすくなります。これが虫歯や歯周病の原因になるため、毎日のケアは欠かせません。
食事をした後は、歯ブラシで入念に歯を磨くことが大事です。
デンタルフロスやマウスウォッシュを使って、歯と歯のあいだや歯茎の周りに溜まったプラークを取り除くことで、口腔内を清潔に保つことができます。
口腔内だけでなく、マウスピース自体もきれいに保つようにしましょう。
ぬるま湯でマウスピースを洗い、専用のクリーナーや歯ブラシでやさしくブラッシングしましょう。熱湯を使ったり強くこすりすぎたりするとマウスピースが変形するので、注意が必要です。
またマウスピースを使っていないときは、清潔なケースに入れて保管しましょう。
マウスピースは取り外しできるため、紛失してしまう場合があります。
紛失してしまうと、新しいマウスピースを作り直す必要があり、追加の費用がかかるだけでなく、矯正治療の期間が延びてしまいます。
マウスピースを使用しない時は、専用のケースに入れて保管するようにしましょう。これにより、紛失や汚れを防いで、マウスピースを安全に保管することができます。
外出時には、必ずマウスピースのケースを携帯する習慣をつけるとよいでしょう。
マウスピース矯正にはさまざまなブランドと料金形態があります。
マウスピース矯正の料金形態には、プラン制・回数制があります。それぞれの料金形態によって、最終的な出費が異なるので、治療全体にかかる総額(トータルフィー)を確認するようにしましょう。
回数制では初期費用が安くみえても、治療全体で見たときに総額が高くなることがあります。
また通院の頻度も重要なポイントです。 通院不要のブランドは費用が安く、非常に楽なように見えますが、
"予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があり歯科医学的観点から非常に危険です。"
と述べており、注意が必要です。
出典元:公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 第2版
本記事では、マウスピース矯正について詳しく解説しました。
マウスピース矯正の基本からメリット・デメリット、治療の流れ、費用や期間、さらにはブランドの選び方まで、幅広く理解できたのではないでしょうか。
マウスピース矯正は目立ちにくく、日常生活に影響を与えにくいという大きなメリットがあります。一方でマウスピースの自己管理や装着時間など、気をつけることも多いです。
マウスピース矯正の特徴を理解して、自分に合った矯正方法を検討するようにしましょう。
気になったら、まずは歯科医院のカウンセリングから始めることをおすすめします!
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