公開日: 2023/12/19
更新日: 2024/09/30
インビザラインを検討しているけど、失敗して後悔しないか不安に感じていませんか?
インビザラインは目立ちにくいマウスピース矯正方法として人気ですが、「やらなきゃよかった」「後悔した」という意見も目にしますよね。
この記事では、インビザラインで後悔してしまう失敗例について紹介。どのような理由で後悔する結果になってしまうのか、失敗しないためのポイントとあわせて解説します。
インビザライン矯正で失敗したくない人は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
記事の編集・責任者歯科医師高橋涼太先生
千賀デンタルクリニック分倍河原MINANO医院 院長。日本大学歯学部 卒業。
まずはインビザライン矯正について、簡単に解説します。
インビザラインとは、目立ちにくい透明なマウスピースを使用する矯正治療法です。
インビザライン矯正の技術は、1997年にアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発されました。現在では世界中で広く利用されている矯正法で、マウスピース矯正のなかでも高いシェアを誇っています。
マウスピースは従来の取り外し不可能なワイヤー矯正治療とは異なり、簡単に取り外すことが可能です。そのため、矯正中もいつも通りに食事や歯磨きすることができます。
また透明なマウスピースを使用するため、見た目を気にすることなく矯正治療を受けることができます。
インビザライン矯正は、以下のような流れで治療が行われます。
1.初回カウンセリング
2.口腔内のスキャンとレントゲンなどの精密検査
3.クリンチェックという3Dシミュレーションを使って治療計画を作成
4.マウスピースの装着開始
5.自分でマウスピースを取り変えながら治療を進める
6.矯正治療後、後戻りを防ぐためリテーナーを数年装着
マウスピース矯正にかかる平均的な費用は、部分矯正が11〜70万円、全体矯正が50〜120万円です。
治療期間は個人の状態によって変わりますが、平均的には約1〜3年かかります。
ほかのマウスピース矯正ブランドと比べると、インビザラインは比較的高価なことが多いです。
例えばスマイルモア矯正では、費用は18.7〜42.9万円、治療期間は最短3ヶ月で矯正治療をスタートできます。
ここからは、実際にインビザライン矯正を行って後悔したという例を紹介します。
大きく分けると、矯正治療全般で起きうる失敗、そしてマウスピース矯正治療ならではの失敗の2つです。
それぞれ背景にある原因を理解することで、インビザラインでの失敗を防ぎましょう。
矯正治療が終わっても、期待通りの仕上がりにならないことがあります。 特に見られるのは「歯を抜いた部分にすき間が残った」「歯の高さがそろわなかった」「上下の正中が合っていない」といったケースです。
インビザラインでもこのようなケースは起こり得ます。
歯列の状態によっては、マウスピース矯正を行なった最終調整として、ワイヤー矯正が必要となる場合も。
歯科医師がワイヤー矯正の併用を提案する場合は、理想的な歯並びを得るためにも実施することをおすすめします。
歯列矯正では、治療したのに歯がもとの位置に戻ってしまう「後戻り」が起こることがあります。 治療できれいに並んだ歯が、もとに戻ってしまうのはとても残念ですよね。
インビザラインは、矯正のなかでも特に後戻りしやすいといった噂がありますが、これは根拠のない意見です。ワイヤー矯正であっても後戻りのリスクはあります。
後戻りを防ぐためには、歯科医師の指示に従ってリテーナーを使用することが重要です。 通常、治療後にリテーナーを1〜2年装着して歯並びを安定させます。
歯列矯正治療を行うと、歯の間に黒い三角形のすき間ができる「ブラックトライアングル」ができることがあります。
すき間を埋めたり、歯茎を膨らませて目立たなくしたりする方法もありますが、どうしてもブラックトライアングルが出来る可能性があることは理解しておきましょう。
矯正治療において、まれに歯茎が下がる現象が見られます。
矯正では歯の骨に力を加え、骨が吸収・再生する仕組みを利用して歯を動かします。この時、歯茎に負担がかかりすぎると、歯肉退縮が発生します。
歯茎が下がると、歯の見える部分が増えて、結果として歯が長くなったような見た目になります。 また、知覚過敏が生じることもあります。
これは矯正装置の周辺に食べかすや細菌が溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが増加するためです。
インビザラインのようなマウスピース矯正の場合、取り外しが可能なため歯磨きしやすいですが、長時間装着しているうちに唾液の循環が悪くなることも原因と考えられます。
虫歯や歯周病にならないためにも、適切な口腔ケアと定期的な歯科検診を行うようにしましょう。
インビザライン治療で叢生を改善しようとした際、人によっては出っ歯になってしまうことがあります。
++叢生とは、スペースが不足していることで歯が適切に並ばず、ガタガタの歯並びになったり、歯が部分的に重なったりしている状態のことです。
通常、叢生の歯をきれいに並べるためには、抜歯やIPR(ストリッピング)という歯を削る施術などですき間を作り、前歯を移動させる方法が取られます。
しかし十分なスペースがない状態で歯を並べようとすると、前方に張り出す形で整列させるしかなく、出っ歯になってしまう場合があります。
インビザライン矯正を行う場合でも、抜歯やストリッピングの必要があるかどうかは事前に確認するようにしましょう。
インビザライン治療において、まれに噛み合わせが悪くなるケースがあります。
マウスピースの装着時間が不十分だと、予定通りに歯が動かず、結果として噛み合わせも理想通りにならない可能性が出てくるからです。
矯正治療を行う際は、見た目を整えるだけでなく、理想的な噛み合わせにするための適切な治療計画が欠かせません。
インビザラインで抜歯矯正を行った場合、「抜歯したすき間が埋まらない」という失敗例があります。
抜歯矯正では奥歯の大きな移動が必要ですが、インビザラインのようなマウスピース矯正は、一般的に奥歯の移動は苦手です。
歯並びはきれいになってきたけれど、なかなか抜歯したすき間がなくならない場合は、ワイヤー矯正の併用も検討しましょう。
インビザライン治療において、歯を動かすためのスペース作りとして「IPR(ストリッピング)」という技術が用いられることがあります。
これは、歯のエナメル質を約0.2〜0.5mm削り、そのスペースを利用して歯並びを整える治療です。
削る量は非常に少ないため、通常歯の形状に大きな変化は生じません。
ただ、IPRは処置中の振動が強い場合があるので、「歯を削られすぎた」と感じることがあります。
一般的に、マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べて痛みや不快感は少ないと言われています1)が、どの矯正方法でも歯が動くときの痛みは生じてしまうものです。
特に治療初期には、歯や歯茎に違和感や圧迫感を感じる人が多く、マウスピースが歯茎に当たり、我慢できず矯正を後悔する人もいます。
こうした症状は治療の進行とともに徐々に軽減されますが、人によっては、継続的な不快感が残ることもあるので、どうしても気になる場合にはクリニックに相談するのがよいでしょう。
マウスピースは適切に管理しないと、汚れや細菌が蓄積され、虫歯や歯周病を引き起こします。治療中は常に携帯用のケースを使って、マウスピースを清潔に保つのがおすすめです。
またマウスピースは取り外しできるため、なかには紛失してしまう人もいます。
紛失した場合、新しいマウスピースの製作には追加費用が発生し、治療期間が長引いてしまうこともあるので注意しましょう。
インビザライン治療では、矯正期間が長くなってしまうことがあります。 主にマウスピースを適切に装着していなかったり、または装着時間が不十分だったりした場合に起こりやすいです。
マウスピースは1日に20時間以上の装着が推奨されていますが、装着時間が短いと、治療効果が下がって、結果として矯正治療の期間が伸びてしまいます。
さらにマウスピースを紛失したり破損したりすると、再製作が必要になり、これも治療期間の延長の原因となります。
インビザライン矯正を最短期間で終わらせるためにも、必ず装着のルールを守るようにしましょう。
ここまでインビザラインで後悔した例を紹介してきましたが、もちろん「やってよかった!」という声も多くあります。
インビザライン最大の魅力は、その目立ちにくさにあります。
ワイヤー矯正とは異なり、透明なマウスピースを使用しているため、装着していても他人に気づかれにくいのです。
日常生活や仕事で矯正装置を目立たせたくない人にとっては、非常に大きなメリットといえるでしょう。
実際に多くの人が目立たないことに魅力を感じ、インビザラインを選んでいます。
さらにインビザラインには、歯磨きがしやすいといったメリットがあります。
ワイヤー矯正は、常に装置を取り付けているため歯磨きが難しく、虫歯や歯周病の原因になりやすいです。しかしマウスピース矯正では、歯磨きをする際には、マウスピースを取り外すことで通常と同じように歯のケアが行えます。
インビザラインであれば、治療中も健康な歯を保つことができるのです。
インビザライン治療で後悔しないためには、実績豊富なクリニックを選ぶことが重要です。
インビザラインの症例を多くもつクリニックでは、さまざまなお悩みやトラブルに対応してきた経験があり、治療の質が高く、満足度も高くなる傾向にあります。
治療計画を立てるところから治療の実施、アフターケアまで、豊富な経験に基づいた対応が期待できるでしょう。
インビザライン治療では、マウスピースの装着時間をしっかり守ることが大切です。
1日20時間以上の装着を心がけることで、治療効果を最大限に発揮できます。
食事や歯磨きの際にはマウスピースを外しますが、その後はすぐに装着しましょう。
マウスピースの自己管理を徹底することで、治療期間の延長を防ぎ、最短期間で理想の歯並びを手に入れることができます。
インビザライン治療が済んだ後は、歯がもとの位置に戻ろうとする力を防ぐため、リテーナーと呼ばれる保定装置を使用する必要があります。
一般的に、歯並びを安定させるまでの保定期間は最低1〜2年です。 この期間、リテーナーを適切に使用しないと、歯がもとの位置に戻ってしまい、せっかくの矯正治療が台無しになってしまいます。
もちろんリテーナーを清潔に保つことも重要で、清潔にしておかないと、虫歯や歯周病の原因になってしまいます。
治療後に後悔しないためにも、医師の指示に従って定期的な検診を行うようにしましょう。
インビザライン治療では、マウスピースを清潔に保つ必要があります。
マウスピースに汚れや細菌が蓄積すると、それが虫歯や歯周病の原因となります。治療中に虫歯や歯周病になってしまうと、そちらの治療を進めるために矯正期間が伸びてしまうので注意が必要です。
マウスピースは、専用のクリーナーや歯ブラシを使って清掃し、定期的に新しいものと交換することで清潔が保たれます。
最後に、インビザライン治療中になにか違和感を感じたら、すぐに歯科医師に相談しましょう。
マウスピース装着時には、口腔内の違和感や歯・歯茎への圧迫感など、さまざまな違和感を感じることがあります。 これらは誰しも起こりうるものですが、違和感が大きかったり長引いたりする場合、マウスピースの装着方法が間違っているか、マウスピース自体に何らかの問題があるかもしれません。
気になったらすぐ医師に相談することで、適切な調整を受けられ、治療効果を高めることができます。また、治療を進めるなかでの安心にも繋がるでしょう。
この記事では、インビザライン治療を行って失敗した事例や後悔した事例について紹介しました。
後悔する事例となってしまった背景には、必ず原因があります。
原因を知って正しく対策すれば、インビザライン矯正を行って理想の歯並びを手に入れられるでしょう。
インビザライン矯正で失敗して後悔しないために、まずは信頼できるクリニックを選んで相談してみることをおすすめします。
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